「ギターのカタログに『ローズウッド指板』とか『メイプル指板』って書いてあるけど、何が違うの?」「見た目が違うだけかと思ったら、弾き心地も違うらしい」——ギターの購入を検討している50代の方から、こんな質問をよく受けます。
指板は、弾きやすさと音の両方に関わる、実は非常に重要なパーツです。指板の材質は、この振動の伝達特性に影響を与え、結果的にギターの音色に微妙な変化をもたらすと考えられています。
この記事では、50代のギター再開者向けに、代表的な指板材の特徴と、弾き心地・音への影響を解説します。
■ 指板とは何か
指板(しばん)とは、フィンガーボード、フレットボードとも呼ばれる、ネックの表面に貼られたパーツのことです。左手で弦を押さえる際に指が触れる部分で、フレットが打ち込まれている木材のことを指します。
音に関しては、音を増幅させるボディに注目されがちですが、音を伝達する意味においては指板も大切です。弦の振動はフレットを通して指板、ネックへと伝わり、最終的にはボディ全体を共鳴させて音を生み出します。
■ ローズウッド:最もポピュラーな指板材
ローズウッドは、フェンダー系列をはじめ、もっともポピュラーで多くの楽器に使われている指板材です。赤茶色、焦げ茶色をした温もりを感じる木材で、名前の由来はバラのような香りを放つことからと言われています。
▼ 音の特徴
温かく、マイルドで、倍音豊かなサウンド傾向になります。高音域がやや抑えられ、中音域に特徴が出ると言われます。アタックがややマイルドになるサウンド特性があります。
▼ 弾き心地の特徴
適度なグリップ感があり、弦を押さえやすいと感じる人もいます。基本的に無塗装なので、木地に直に触れることができ、演奏を重ねるごとに味わいを増していく指板です。
▼ お手入れについて
塗装が施されていないため、クリーニングに加え、専用のオイルやワックスを塗り込んで「保湿」する必要があります。指板が乾燥しすぎると、ネックの反りやフレット浮きなど厄介な症状を起こしてしまうことがあるため、定期的なケアが大切です。
■ メイプル:明るく硬質な指板材
メイプルは、硬度の高い白色の材木で、立ち上がるアタック感と透き通った響きがあると言われます。フェンダーがギターのネックに採用したことから定着した指板材です。
▼ 音の特徴
ローズウッドよりも立ち上がりが早く、高域特性に優れているのでアタック感が魅力的です。クリーンできらびやかな音が特徴で、はじめは真っ白な色をしていますが、使っていくうちにラッカーの変色とあわせて飴色がかってきます。
▼ 弾き心地の特徴
木肌が白い木材なので汚れを防ぐため基本的には塗装が施されており、指板材の中でもっとも手入れが簡単な指板材だと言えます。ただし、塗装面で手汗がベトつきやすいと感じる方もいるため、汗をかきやすい方はローズウッド指板の方が快適な場合もあります。
▼ お手入れについて
塗装されているため、クリーナーなどで汚れを除去するだけで完了します。ボディと同じワックスやポリッシュを塗ってお手入れすることも可能です。
■ エボニー:高級ギターに使われる黒檀
エボニーは日本では黒壇と呼ばれる高級木材で、ローズウッドと同じく無塗装で指板として使われることが一般的です。ギターに使われるものはエボニーの木の芯の部分からしか採れないそうで、とても貴重な木材になります。
▼ 音の特徴
音は、メイプルとローズウッドの中間、バランスの取れた音が特徴です。非常に密度の高い木材で、ローズウッドに比べても木目が細かいことから、立ち上がりの早いダークな音色が魅力です。特にエボニーは、音の分離が良く、輪郭のはっきりしたサウンドが特徴と言われます。
▼ 弾き心地の特徴
木材は非常に硬く、目が細かく、また滑りがよいのも特徴です。そのため、スライドする際などは弾きやすい、引っかかりが少ないと感じる人もいるかもしれません。硬さがあるので、長く使っていてもすり減りはほとんど見られないことが多いという耐久性も魅力です。
▼ お手入れについて
基本的にはローズウッドと同じく無塗装なので、乾燥によるひび割れなどが見られることもあります。定期的なオイルケアが必要です。
▼ 価格について
3つの指板材の中では最も高級な木材になり、エボニーが使われているギターの多くは、各メーカーのラインアップの中でも高級、ハイクラスのギターであることが多いです。ギブソン・レスポールの最高級機種「レスポールカスタム」はエボニー指板を採用しています。
■ 3つの指板材の比較表
| 指板材 | 音の特徴 | 弾き心地 | 塗装 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| ローズウッド | 温かくマイルド | グリップ感あり | 無塗装 | 標準的 |
| メイプル | 明るく硬質 | 滑らか・塗装あり | 塗装あり | 標準的 |
| エボニー | 中間・輪郭がはっきり | 滑らかで引っかかりが少ない | 無塗装 | 高価 |
■ 音の違いは実際どれくらいあるのか
指板の樹種によって、聞いてわかるほどサウンドに違いが出るのかという点については、意見が分かれるところです。「指板材だけが違うギターを弾き比べても、音だけでは判別できなかった」という話もあります。
木材の個体差でサウンドは変わりますし、音だけで指板材を判別できる人はそうそういないという指摘もあります。メイプルかローズかは、ルックスの好みで選んで問題ないという考え方も、楽器製作の専門家から示されています。
■ ジャンルとの相性
▼ 速弾き・タッピングを多用する場合
メイプルやエボニーが適しているとされています。硬質で滑りの良い特性が、素早い運指をサポートします。
▼ ブルース・ジャズなど温かみのあるジャンル
ローズウッドの温かみのあるサウンド傾向が好まれる傾向があります。
▼ ただし好みが最優先
指板素材が得意とするジャンルはあくまで参考程度に考え、最終的にはプレイヤーの好みが最も重要だとされています。
■ 50代が指板材を選ぶ際のポイント
▼ 手汗の量で選ぶという視点もある
塗装面で汗がベトつきやすいメイプル指板より、木地に直接触れるローズウッド指板の方が快適という声もあります。自分の手の状態に合わせて選んでみるのも一つの方法です。
▼ お手入れの手間を考慮する
ローズウッドやエボニーは無塗装のため、定期的なオイルケアが必要です。お手入れの手間を減らしたい場合は、塗装されているメイプル指板が扱いやすいという側面もあります。
▼ 見た目の好みも大切にする
指板の色が白っぽく明るくポップなカラーリングが映えるメイプルと、黒っぽく落ち着いたローズウッド指板では、同じボディの色でも違った印象を与えるギターになります。音だけでなく、見た目の好みも選択の大切な要素です。
▼ 最終的には試奏して決める
音の違いについては議論があるものの、実際に弾いてみたときの「弾きやすさ」の感覚は、指板材によって確かに変わります。楽器店で複数の指板材のギターを試奏し、自分の手に合うものを見つけることが、最も確実な選び方です。
■ まとめ:指板材による違い
| 指板材 | 一言で表すと |
|---|---|
| ローズウッド | 温かみがあり、最もポピュラーな定番材 |
| メイプル | 明るく硬質、お手入れが簡単 |
| エボニー | バランスの取れた音、高級ギターに多い |
指板材による音の違いは、専門家の間でも意見が分かれる奥深いテーマです。理論を知った上で、最終的には自分の手と耳で「これが好き」と感じるギターを選ぶことが、後悔のないギター選びにつながります。
■ ギター選びをプロに相談したい方へ
指板材を含めた自分に合ったギター選びは、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。


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