「せっかく弾けるようになった曲を動画で発信してみたい」「弾いてみた動画って、著作権的に大丈夫なんだろうか」——SNS発信(#285記事)や自宅録音(#263記事)を実践してきた50代の方から、こんな疑問をよく聞きます。
好きな曲を演奏して公開するのは楽しいものですが、その裏には「著作権」という大切なルールが存在します。この記事では、50代のギター再開者向けに、弾いてみた動画を投稿する前に知っておきたい著作権の基礎知識を解説します。
■ そもそも著作権とは何か
著作権は「創作物を守る権利」です。音楽の場合、1曲を演奏するだけでも複数の権利が関係しています。特に注目すべきは「著作権」と「著作隣接権」の2種類です。
著作権とは、作詞家や作曲家など、作品を生み出した人の権利を指します。一方、著作隣接権とは、その作品を演奏したり録音したりした人、つまりアーティストやレコード会社などの権利です。
「J-POPの人気曲をギターで弾いてみた動画」を投稿する場合、この2つの権利の両方に関わってきます。単純に曲を演奏するだけで著作権の複製・公衆送信にあたり、さらに背景で原曲のCD音源を流したりすると、著作隣接権の侵害にもなってしまいます。
■ 「個人の趣味だから大丈夫」は誤解
著作権は「創作した人のもの」です。たとえ自分で演奏していても、「原曲を使っている」限りは無関係ではありません。
勘違いされがちですが、「個人の趣味だから問題ない」というわけにはなりません。投稿した時点で「公に発信」していることになるためです。
■ JASRACとYouTubeの許諾関係
音楽の著作権を語るうえで欠かせないのが、JASRAC(日本音楽著作権協会)です。YouTubeは多くの楽曲についてJASRACなどと包括的な契約を結んでいるため、一般的な「弾いてみた」動画であれば、多くの場合投稿が可能とされています。
ただし、収益化をしている場合は話が別です。演奏動画に広告収入が発生すると、この許諾の範囲を超えることがあります。追加の許可や契約が必要になるケースもあるため、「YouTubeが契約しているから安心」と思い込むのは危険です。
■ 特に注意したい3つのポイント
▼ ① 市販音源をそのまま流さない
多くの人がやってしまいがちなのが、市販CDや配信音源をそのまま流す行為です。「ちょっとだけならバレないだろう」は通用しません。YouTubeのContent IDシステムは非常に優秀で、精密な照合を行い、わずかな音でも検出します。検出されると著作権者からの申し立てが入り、最悪の場合、動画の削除やアカウントへの警告につながります。
▼ ② カラオケ音源・伴奏音源にも著作権がある
YouTube上にある「カラオケ音源」や「伴奏音源」を使う場合も注意が必要です。たとえ無料で公開されていたとしても、それを作った人の著作権が発生しています。無断で使用すると、その人の権利を侵害してしまう可能性があります。
▼ ③ 収益化の有無で扱いが変わる
著作権の世界では「収益化しているかどうか」が大きな分岐点になります。非営利での投稿は許されても、商用目的には別の許可が必要になるケースもあります。「少しでもお金が絡むなら要注意」と考えておくのが安全です。
■ YouTube側の収益化ルールについて
YouTubeパートナープログラムに参加しているクリエイターは、収益化対象のカバー曲の動画に対し、著作権を持つ音楽配信者が申し立てを行った場合であれば、これらの動画からの収益の分配を受けることができます。ただし、これは音楽配信者側の判断に委ねられる部分が大きく、必ずしも自分自身が収益を受け取れるとは限りません。
商業音楽(器楽曲やカラオケ音源など)やアーティストによるライブコンサート演奏の録音・録画が含まれる動画は、原則として収益化の対象になりません。
■ 収益化条件について
YouTubeチャンネルを収益化するための条件として、以下の2つを満たす必要があります。
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- 公開している動画の総再生時間が直近12ヶ月で4,000時間以上、もしくは公開したショート動画の総視聴回数が直近90日間で1,000万回以上
「弾いてみた」動画でこの条件を満たし、さらに実際の収益を得るのは、簡単なことではないとされています。カバー動画で収益化できたという報告でも、月数千円程度というケースが多いようです。継続して努力すれば道は開けますが、コスパを重視しすぎず、まずは発信そのものを楽しむ姿勢が大切です。
■ 安全に発信を楽しむための工夫
▼ オリジナル曲を弾く
自分で作曲した曲(作曲記事#340参照)であれば、著作権の心配なく自由に発信できます。
▼ YouTubeオーディオライブラリの音楽を活用する
YouTubeが提供するオーディオライブラリの音楽は、収益化の対象にすることができます。BGMとして活用する際は、こうした著作権フリーの音源を選ぶと安心です。
▼ 収益化を目指さず、まず記録として発信する
収益を目的にせず、自分の練習の記録として発信することを目的にすれば、多くの場合、通常のカバー動画の範囲で対応できます。まずは発信そのものを楽しむところから始めるのがおすすめです。
▼ 不明な点は都度確認する習慣をつける
「これもダメなの?」というグレーな部分は意外と多くあります。不安な場合は、YouTubeのヘルプページや、JASRACの公式サイトで最新の情報を確認する習慣をつけましょう。
■ 50代がこの知識を持つメリット
▼ 安心して発信を楽しめる
著作権の基本を知っておくことで、余計な不安を抱えずに、演奏の発信を楽しむことができます。
▼ トラブルを未然に防げる
知らずに動画を削除されたり、警告を受けたりすることを防げます。特に長年築いてきた社会的信用を大切にする50代の方にとって、こうしたリスク管理は重要な視点です。
▼ 発信の目的を見つめ直すきっかけになる
収益化の難しさを知ることで、「収益」よりも「自分の演奏の記録」「音楽仲間との交流」といった、発信の本来の楽しみに目を向けるきっかけにもなります。
■ まとめ:弾いてみた動画の著作権基礎知識
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 著作権の基本 | 個人の趣味でも「公に発信」すれば著作権の対象になる |
| 危険な行為 | 市販音源やカラオケ音源をそのまま使用すること |
| 収益化の分岐点 | 非営利か商用かで扱いが大きく変わる |
| 安全な発信法 | オリジナル曲・オーディオライブラリの活用 |
| 心構え | 収益より発信そのものを楽しむ姿勢を大切に |
弾いてみた動画は、正しい知識を持って取り組めば、安心して楽しめる発信方法です。50代のギターライフに、ぜひこうした知識を取り入れながら、演奏の発信を楽しんでみてください。
■ 発信の仕方をプロと一緒に考えたい方へ
演奏動画の発信方法や練習の進め方は、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。


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