50代からのギター再開|アコギは弾き込むほど音が良くなるって本当?【経年変化の仕組み】

ギター機材

「楽器店で『弾き込んで育ててください』と言われた」「長く使っているうちに、なんだか音が良くなってきた気がする」——アコースティックギターを長く愛用している50代の方から、こんな声をよく聞きます。

「アコギは弾き込むほど鳴るようになる」という話は、ギターの世界でよく語られる説です。この記事では、50代のギター再開者向けに、この現象の仕組みと、良い鳴りを育てるための実践方法を解説します。


■ 「弾き込むと鳴る」は本当なのか

ネット上でも、鳴る派と鳴らない派で意見が分かれるテーマです。「楽器屋が鳴らない楽器を売るための常套句でしょ」という懐疑的な意見もあれば、「弾いていればいい音になってくる」という体験談も多くあります。

多くのリペアショップやベテラン愛好家の意見を総合すると、どんなギターでもある程度は鳴るようになる、というのが一般的な見解です。「ある程度」というのがポイントで、劇的な変化というよりは、着実な変化と捉えるのが実態に近いようです。


■ なぜ弾き込むことで音が変わるのか

▼ 木材の繊維構造が変化する

木材で作られた楽器は、木の性質からして、時間の経過とともに変化していきます。木材の繊維(セルロース)が長期的な振動によって少しずつ折れて短くなっていき、それまで低い音に共振していた繊維が、より高い音に共振するように変わっていく、という仕組みが考えられています。

▼ 木材の水分・樹脂が抜けていく

木材は時間が経つにつれて水分や樹脂が抜け、内部が軽くなり、音の伝達効率が良くなっていきます。これにより、余分な倍音が減り、芯のある「枯れた音」が生まれていくとされています。

▼ 演奏者自身の腕が上がっているという側面も

弾き込むと音がよくなるのは、実は演奏者自身が変化したためという側面もあります。ギターにはそれぞれに個性があり、うまく鳴らすための弾き方が異なります。楽器店の「今はならないけど、そのうち鳴ってきますよ」という言葉は、「あなたの今の腕では鳴らせないけれど、もう少し上達すれば鳴らせるようになりますよ」という意味を含んでいることもあるようです。


■ 「デッドポイント」とは何か

新品のギターを弾いてみると、特定のフレットの音だけが「ボッ」と鳴ってサスティーン(音の伸び)が全くない、という現象に遭遇することがあります。これを「デッドポイント」と呼びます。

デッドポイントは、振動を殺してしまうポイントが多いギターだと目立ちやすく、良いギターになりにくい要素とされています。弾き込むことで、こうしたデッドポイントが徐々に解消されていくケースも報告されています。


■ 冬場の弾き込みが特に効果的とされる理由

乾燥した寒い時期に意識して弾き込むことで、そのギターの持つポテンシャルをより引き出しやすいと言われています。これは、乾燥した環境で木の繊維がより変化しやすいためと考えられています。

日本を代表するアコースティックギターメーカーの中には、出荷前に特別な部屋で大音量の音楽を聴かせて、トーンを馴染ませる工程を取り入れているところもあるほどです。


■ 自分で実践できる「弾き込み」の工夫

▼ とにかく毎日触れる

最も基本的で確実な方法は、日常的にギターを弾くことです。特に冬場は、意識的に触れる時間を増やしてみると良いでしょう。

▼ 様々な強さ・様々な曲を弾く

一つの弾き方だけでなく、強く弾く場面、優しく弾く場面など、様々な振動パターンをギターに与えることで、木材全体がバランス良く変化していくとされています。

▼ 音楽を流して「強制振動」させるという方法も

演奏する以外にも、ギターに音楽を聴かせることで振動を与えるという方法を実践している愛好家もいます。スピーカーとして機能する小型のアタッチメントをブリッジに貼り付け、音楽を再生し続けることで、実際に演奏したのと近い効果を得られたという体験談もあります。この方法は、演奏できない時間帯にも試せる工夫として知られています。


■ 弾き込みだけが全てではない

音の良し悪しを判断するのは、最終的には自分自身です。「これだから絶対に良い」という絶対的な基準はありません。妙な売り文句や世間の評価に振り回されず、自分が良いと思った音を大切にすることが、ギターを楽しむ上で最も重要な視点です。

また、ギターの音は「ボディが良く鳴る=最高の音」というわけでもありません。ボディがよく振動していても、それが自分の好みの音でなければ「良く鳴っている」とは感じられないものです。


■ 手放す前に、もう一度弾き込んでみるという選択肢

「なんだか自分好みの音で鳴ってくれない」という理由でギターを手放そうか迷っている場合、その前にもう少し弾き込んでみることをおすすめする声も多くあります。特にアコースティックギターの場合、寒い乾燥時期にどれだけ弾き込んだかで、鳴りが大きく変わってくることがあります。

もしかしたら、そのギターが本来持っているポテンシャルが、まだ十分に引き出されていないだけかもしれません。


■ 50代がこの知識を持つメリット

▼ 長年愛用してきたギターへの理解が深まる

これまで長く使ってきたギターの音の変化に、あらためて気づくきっかけになります。「そういえば、最初と比べて音が変わったな」という発見が、新しい愛着につながります。

▼ 新品ギターへの向き合い方が変わる

新品のギターを購入した際、「最初は思ったより硬い音だな」と感じても、それが自然な過程であることを知っていれば、焦らず育てていく気持ちで向き合えます。

▼ 毎日弾くことへの新しいモチベーションになる

「弾けば弾くほどギターが育っていく」という視点は、日々の練習に新しい楽しみを加えてくれます。技術の上達だけでなく、楽器そのものの成長を見守るという楽しみ方です。


■ 50代がこの視点を取り入れる際のアドバイス

▼ 焦らず長い目で見る

木材の変化はゆっくりとしたものです。数日や数週間で劇的な変化を期待するのではなく、数ヶ月、数年という長い目で楽しむ姿勢が大切です。

▼ 過度な期待をしすぎない

「弾き込めば必ず理想の音になる」というわけではありません。あくまで「ある程度」の変化として、過度な期待をせず、変化を楽しむ気持ちで向き合いましょう。

▼ 自分の好みの音を大切にする

弾き込みによる変化が、必ずしも「良い方向」に向かうとは限りません。長く付き合っていく中で、自分にとって心地よい音かどうかを、自分の耳で判断していくことが大切です。


■ まとめ:アコギの経年変化の仕組み

ポイント内容
基本的な考え方どんなギターでもある程度は鳴るようになる
変化の仕組み木材の繊維構造の変化・水分や樹脂が抜ける
デッドポイント特定の音だけ鳴らない現象・弾き込みで改善することも
効果的な時期乾燥した冬場の弾き込みが特に効果的とされる
実践方法毎日触れる・様々な強さで弾く

アコギの「鳴り」は、長い時間をかけて育っていく、楽器との対話のようなものです。50代のギターライフに、ぜひこの視点も加えて、愛用のギターとの付き合い方を楽しんでみてください。


■ ギターの状態をプロに相談したい方へ

愛用のギターの鳴りや状態については、オンラインレッスンでプロに相談してみるのも一つの方法です。

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