「立って弾いていると、なぜかネックがどんどん下がってきてしまう」——過去記事「肩への負担を減らすストラップ選び」でストラップの選び方をご紹介しましたが、実はストラップの選び方以前に、ギター自体の構造による「ヘッド落ち」という現象が原因になっていることがあります。
この記事では、50代のギター再開者向けに、ヘッド落ちの原因と対策を解説します。
■ ヘッド落ちとは何か
ヘッド落ちとは、ストラップを肩にかけてギターを構え、立った状態で両手を離した時に、ヘッド側(ネックの先端部分)が重みで下がってしまう現象のことです。海外では「ネックダイブ(Neck Dive)」とも呼ばれています。
原因は、ギターの重心が、ストラップを留めている位置よりもヘッド側に寄ってしまうことで、重力によってヘッドが下がってしまうためです。
■ ヘッド落ちが起こりやすいギターの特徴
▼ カッタウェイが深く、ネックが長いギター
過去記事「カッタウェイのメリット・デメリット」でも触れたように、ハイポジションでの演奏性を高めるカッタウェイですが、その分ボディの重量が軽くなり、ヘッド落ちしやすくなる傾向があります。
▼ ボディの重量が軽いギター
ボディが薄型・軽量なタイプのギターは、ヘッド側との重量バランスが取りづらく、ヘッド落ちが起こりやすいとされています。
▼ アコースティックギターでも起こりうる
エレキギターに多いイメージがありますが、アコースティックギターの機種によってはヘッド落ちが起こる場合もあります。特に、コンパクトなボディを持つミニギター(過去記事「ミニギター・トラベルギターという選択肢」も参考にしてください)では、ボディが小さい分、重量バランスがヘッドよりになりやすいこともあります。
■ ヘッド落ちで困ること
ヘッドが落ちると、常に押弦する手(左手)でネックを支えながら演奏しなくてはならないため、演奏へのパフォーマンスに制約が生まれます。左手がネックを支える役割も兼ねてしまうことで、本来の演奏動作に集中しづらくなるのです。
■ ヘッド落ちは「絶対的に悪いこと」ではない
ヘッド落ちしやすいギターであっても、それ自体は絶対的に悪いことというわけではありません。ボディのデザインやストラップピンの位置によって、どうしてもヘッド側が下がってしまうものがあるだけで、サウンド面には問題がないケースがほとんどです。実際、ヘッド落ちしやすいことで知られるモデルの中にも、長年人気を保っているギターがあります。
つまり、ヘッド落ちは「そのギターの個性」の一つとして捉え、必要に応じて対策を講じるという考え方が現実的です。
■ ヘッド落ちの対策方法
▼ ① 滑りにくいストラップにする
ストラップと服との摩擦抵抗を利用して、ヘッド落ちを抑えるという方法です。過去記事「肩への負担を減らすストラップ選び」でも触れたように、素材によって滑りやすさが変わるため、滑りにくい素材のストラップを選ぶことが、手軽な第一歩になります。
▼ ② ストラップピンの位置を変更する
支点のバランスを変えることで、ギターの重量を変えずにヘッド落ちを防ぐことができるとされています。ただし、これはギター本体への加工が必要な作業のため、無理に自分で行おうとせず、リペアショップに相談することをおすすめします(過去記事「信頼できるリペアショップの選び方」も参考にしてください)。
▼ ③ ボディ側に重りを取り付ける
ギターのボディに重りを取り付けることで、ヘッド側とのバランスを調整する方法です。ピックアップを納めるキャビティに重りを追加するか、ストラップに重りを取り付けるという方法があります。ただし、重りを追加しすぎると、ギター自体の重量が増加してしまうため、適度な調整が求められます。
▼ ④ 軽量なペグに交換する
ヘッド側に取り付けられている「ペグ」(弦を巻く金属パーツ)を、より軽量なものに交換することで、ヘッド側の重量を軽減し、ヘッド落ちを防ぐという方法もあります。ただし、ペグの種類によっては取り付けに加工が必要な場合や、ロック機構がなくなってしまう場合もあるため、事前によく確認しましょう。
■ 対策の優先順位
自分で手軽に試せる対策から、専門的な作業が必要な対策まで、様々な選択肢があります。まずは、以下の順番で検討してみることをおすすめします。
| 優先順位 | 対策 | 手軽さ |
|---|---|---|
| ① | 滑りにくいストラップに変える | 自分で手軽に試せる |
| ② | 左手で軽く支えながら演奏する | 追加費用なし |
| ③ | ストラップピンの位置を変更する | 専門的な加工が必要 |
| ④ | ボディに重りを取り付ける | 専門的な加工が必要 |
| ⑤ | 軽量ペグに交換する | 専門的な加工が必要 |
■ 左手で支えながら演奏するという現実的な対応
対策を講じるほどではない、あるいは対策後もある程度のヘッド落ちが残る場合、左手で軽く支えながら演奏するという、シンプルな対応方法もあります。過去記事「手首を痛めない演奏フォーム」でも触れたように、無理な力の入れ方は体への負担につながるため、あくまで軽く支える程度にとどめることが大切です。
■ 50代がこの知識を持つメリット
▼ 自分のギターの特性を正しく理解できる
「なんだかネックが下がってきて弾きにくい」という違和感の原因が、ヘッド落ちという現象だと知ることで、対処すべき方向性が見えてきます。
▼ 焦らず対策の優先順位をつけられる
すべての対策を一度に行う必要はなく、まずは手軽な方法から試してみるという、段階的なアプローチができるようになります。
▼ ギター選びの新しい視点が加わる
これから2本目のギターを検討する際、ヘッド落ちのしやすさという視点も、選択の参考にできるようになります。
■ 50代がこの知識を活用する際のアドバイス
▼ まずはストラップの見直しから試してみる
過去記事「肩への負担を減らすストラップ選び」も参考にしながら、まずは手軽なストラップの見直しから始めてみましょう。
▼ 本格的な改造は無理をせず専門家に相談する
ストラップピンの変更や重りの取り付けなど、ギター本体に手を加える作業は、自信がない場合、無理に自分で行おうとせず、専門家に相談することをおすすめします。
▼ 「そのギターの個性」として受け入れる余裕を持つ
ヘッド落ちしやすいギターでも、多くの魅力的な音楽が生み出されてきました。過度に完璧を求めすぎず、そのギターの個性として付き合っていく余裕も大切です。
■ まとめ:ヘッド落ちの原因と対策
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 原因 | ギターの重心がストラップの支点よりもヘッド側に寄っている |
| 起こりやすいギター | カッタウェイが深い・ボディが軽量なモデル |
| 手軽な対策 | 滑りにくいストラップに変える |
| 本格的な対策 | ストラップピンの位置変更・重りの取り付け・軽量ペグへの交換 |
ヘッド落ちは、多くのギタリストが経験する、よくある現象です。50代のギターライフに、この知識を取り入れて、より快適な立奏を目指してみてください。
■ ギターの調整についてプロに相談したい方へ
ヘッド落ちの対策については、オンラインレッスンでプロに相談してみるのも一つの方法です。


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