「梅雨の時期にギターの音が変わった気がする」「冬になるとフレットが少し出てきた気がする」——ギターを長く続けている50代の方から、こんな声をよく聞きます。
その原因の多くは「湿度」にあります。ギターはほとんどが木材を使って作られているため、気温や湿度の変化にとても敏感です。適切な湿気対策と保管方法を実践することで、ネックの反りやボディのひび割れを防ぎ、長く良い状態を保つことができます。
この記事では、50代のギター再開者向けにギターの保管方法と季節ごとの湿気対策を解説します。
■ ギターにとって理想の湿度と温度
ギターの保管に最適な湿度は、45〜55%が一般的とされています。日本は1年のうちで湿度が10%台〜90%まで変化する国のため、1年中湿度管理が必要になります。
保管に適した温度は、20〜25℃程度とされています。人が快適に過ごせる温度なら、おおむね問題ありません。
■ 湿度が高すぎるとどうなるか
▼ 主な影響
・ネックが逆反りしやすくなる
・こもったような音になる
・金属パーツが錆びる
・木材が膨張し、ボディや指板の変形が起こる
・接着部分が剥がれやすくなる
・カビが生えてしまうことがある
アコースティックギターの場合、木材が膨張して音質が変わってしまったり、カビが生えてしまうことがあります。特に日本の梅雨は湿度が非常に高く、ギターにとって厳しい季節です。
■ 湿度が低すぎるとどうなるか
▼ 主な影響
・ネックが順反りしやすくなる
・ネック痩せしてしまう
・木材が乾燥しすぎてひび割れが発生する
・指板が割れてしまうケースがある
・フレットのバリが出る
乾燥がすすむと指板に埋めてあるフレット(金属)よりも木材の体積が小さくなり、指板の横からフレットが飛び出してくることがあります。これが「フレットのバリ」と呼ばれる現象で、演奏しにくいだけでなく、手を傷める可能性さえあります。
■ 湿度管理の基本ステップ
▼ ステップ1:まず湿度計で正しい湿度を知る
天気予報などで見られる湿度は外の数値なので、必要なのはギターを保管している部屋・場所の正しい湿度です。卓上の湿度計、特に湿度だけでなく温度も表示してくれるものがおすすめです。ケースに入れて保管する場合は、ケース内の湿度を測ることが大切です。
▼ ステップ2:適切な保管場所を選ぶ
ケースを置く場所は、温度湿度の影響を受けやすい建物の外壁からできるだけ離すことが大切です。押し入れなど、温度・湿度の変化が少ない場所がおすすめです。
▼ ステップ3:正しい置き方を守る
置き方の基本は、ヘッドストックを上にしてギターが「縦」に立った状態にすることです。横積みすることは絶対にやめましょう。楽器店のように、ギターを吊るして保管するという方法もあります。吊り下げての保管は、スタンドでの保管に比べてネックにかかる負担が少なく、反りにくくなる点がメリットです。
■ 季節ごとの湿気対策
▼ 梅雨・夏場(湿度が高い時)の対策
除湿機、エアコンの除湿機能を使うことが基本です。暑さ対策だと思ってエアコンの冷風を当て続けると、指板が乾燥してしまったり、アコギであればボディ内部から乾燥が進む可能性もあります。窓辺など直射日光を避け、冷風の当たらないところへ置きましょう。日中と夜間に気温差があまりないところがおすすめです。
▼ 冬場(湿度が低い時)の対策
加湿器を使うことが基本の対策になります。アコースティックギター専用の加湿器も市販されており、サウンドホールに設置するタイプなどがあります。オイルやワックスを使って木材の乾燥を防ぐ方法も有効です。
▼ どちらの季節でも使える対策:湿度調整剤
湿度調整剤は、ケースの中に入れておくだけで湿度をコントロールできる便利グッズです。湿度が高い時には吸湿して湿度を下げ、湿度が低い時には水分を吐き出して湿度を上げ、ケース内の湿度を一定に保ってくれます。
商品にもよりますが、多くは約半年〜1年間使えるとされています。使える期間は環境によるため、湿度計をチェックして効果が薄れてきたら新しいものに交換しましょう。
■ ケースの選び方:ハードケースvsソフトケース
しっかりと密閉できるハードケースがおすすめです。ただ、ハードケースはケース自体が重く、背負って歩くといったことができません。そのため、持ち運びの機会が多い場合は「ソフトケース」、自宅での保管用に「ハードケース」を使い分けるのも一つの方法です。
ソフトケースは衝撃に弱いうえに湿度が高くなりやすいため、長期保管する場合はハードケースに湿度調整剤を併用するのが最も安心な方法です。
■ 弦のテンションについて(長期保管時)
長期間弾かない場合、弦のペグを1〜2回ほど半回しをして軽く緩めるぐらいがおすすめとされています。そうすることで、ネックの反りを防ぎやすくなります。
ただし、弦をゆるめすぎてまったく圧がかからない状態でも、ネックは弦を引っ張るのとは逆方向に反ってしまうことがあります。少し弦に圧がかかっているくらいの状態が、長期保管にはちょうどいいとされています。
弦を張りっぱなしで長期間放置すると、ネックが反ったり金属パーツがサビる原因になります。逆に、弦を外したまま放置しても不自然に反ってしまうことがあるため、極端な対応は避けましょう。
■ 小物類(シールド・ストラップ・ピック)の保管
エレキギター・エレキベースの場合、楽器本体だけでなくエフェクター・アンプ・ケーブルなどの保管も必要です。小物類の保管で大切なのは、一つひとつを袋などに入れて包んでおくことです。
そうすることで、入出力端子などにホコリが溜まりにくくなります。また、小物類とギター本体を別収納することで「エフェクターの角でギターに傷がついてしまう」といったトラブルも防ぎやすくなります。
■ 50代がギターの湿度管理で意識したいこと
▼ 乾燥を気にしすぎてケースにしまいっぱなしにしない
乾燥を気にしすぎて、ケースに入れっぱなしにしておくのは本末転倒です。週に1回はケースから出して弾いてあげてください。ギターの鳴りも良くなりますし、トラブルの兆候が出ていたら早期発見できます。
▼ 長期間弾かない場合も定期的にチェックする
しまいっぱなしにしてしまうのも良くありません。長期間弾かない場合も、定期的に中を開けて状態チェックをしましょう。
▼ 気になる変化があれば楽器店に相談する
弦高が変わった、音がこもるようになった、フレットが出てきたなど、湿度による変化に気づいたら、大事に至る前に楽器店に相談することをおすすめします。
■ まとめ:ギターの保管と湿度管理チェックリスト
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 理想の湿度 | 45〜55% |
| 理想の温度 | 20〜25℃ |
| 置き方 | 縦置き(ヘッドストックを上に) |
| ケース選び | 長期保管はハードケース+湿度調整剤 |
| 梅雨・夏の対策 | 除湿機・直射日光と冷風を避ける |
| 冬の対策 | 加湿器・湿度調整剤 |
| 長期保管時の弦 | 少し緩める程度に留める |
| 定期チェック | 週1回はケースから出して弾く |
湿度管理は地味な作業に見えますが、ギターを長く良い状態で保つための土台になります。50代の大切なギターを、これからも長く楽しめるように、季節ごとの対策を取り入れてみてください。
■ ギターの状態をプロに相談したい方へ
保管環境やメンテナンスの相談は、オンラインレッスンでプロに聞いてみるのも一つの方法です。


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