「オーバードライブとディストーションって何が違うの?」「ファズって聞いたことあるけど、使ったことがない」——エフェクターを検討している50代の方から、こんな質問をよく受けます。
どちらも音を歪ませるエフェクターですが、名前だけで選んでしまうと「思ってた音と違う」と失敗しがちです。この記事では、50代のギター再開者向けに、歪み系エフェクターの3つの代表格の違いを解説します。
■ 3つの歪みに共通する仕組み
ギターアンプなどで、回路を通過できるレベルの限界を超えた入力をしたために、出力された音が潰れてしまうことを「オーバードライブ」した状態と言い、その潰れて歪んだ出力音自体を「ディストーション(歪んだ)」サウンドと呼びます。ファズも基本的な原理は同様です。
それぞれの差をざっくり表現すると、「どれくらい強く歪ませるか」、すなわち「どれくらいのレベルでクリッピング(音の上下を潰すこと)させるか」によって歪みの深さや原音のニュアンスが変化し、3つの違いが生まれています。
■ オーバードライブ:自然でマイルドな歪み
オーバードライブは、真空管アンプのようにヴォリュームを下げればクリーンなトーン、上げるに従って歪みが大きくなるように設計されています。アンプを少し無理やり歪ませたときのような、自然でマイルドな歪みが特徴です。
▼ 音の特徴
- 歪みは少なめ〜中程度
- 音が太く、温かい感じ
- ピッキングの強弱を出しやすい
コードを弾いたときも音が潰れにくく、クリーンと歪みの中間のようなサウンドになります。ピッキングニュアンスや和音、アルペジオなども聴き取れるタイプのものが多いので、非常に使いやすいエフェクターと言えます。
▼ 向いているジャンル
ポップス、ブルース、ロック系でよく使われるのは、この自然さが理由です。ディープパープルやレッドツェッペリンなどの70年代ハードロックにも合います。
■ ディストーション:しっかり歪む定番サウンド
ディストーションは、オーバードライブと違い、音量の大小に関係なく同じ歪みが得られるように設計されています。より強く歪ませることを目的に作られたエフェクターです。
▼ 音の特徴
- 歪みが強い
- 音が硬く、輪郭がはっきりしている
- サステイン(音の持続時間)が長い
いわゆる「エレキギターっぽい音」になります。ファズよりは原音を配慮した回路構造となっているため、ピッキングニュアンスや和音なども聴き取ることが可能なくらいの歪みのものが多いです。
▼ 向いているジャンル
ハードロック、メタル、パンクなど、迫力のある演奏に向いています。パワーコードを弾いたときの「ズンズンズンズン」というサウンドが欲しければ、ディストーションが最も気持ちいいとされています。
■ ファズ:切り裂くような個性的な歪み
歪み系エフェクターの中でも特に強く歪むのがファズです。ザ・ローリング・ストーンズの「Satisfaction」や、ジミ・ヘンドリックスの音として知られる、より切り裂くような歪みを生み出します。
▼ 音の特徴
音の芯が無くなるほど非常に強く歪ませるエフェクターであり、ピッキングニュアンスや和音などはほぼ反映されないと言っても良いほどです。一方で、レベルが一定に保たれるため、ロングトーンを得ることが可能です。
▼ ファズならではの特徴
ファズは他のゲインペダルに比べてややカオスですが、ギター側のボリュームで歪み量を大きくコントロールできるモデルが多いという特徴があります。ギター側のボリュームを絞ればクリーンになるため、演奏中に手元で歪み具合を細かく調整できるというメリットがあります。
▼ 向いているジャンル
ヴィンテージロックや実験音楽に適しています。主な使い道としてはギターソロが向いていますが、パワーコードや大きなリフでファズを使えば、とても目立つサウンドになります。
■ 3つの歪みの比較表
| 項目 | オーバードライブ | ディストーション | ファズ |
|---|---|---|---|
| 歪みの強さ | 弱め〜中程度 | 強い | 最も強い |
| 音の輪郭 | 太く温かい | 硬くはっきり | 音の芯が薄れる |
| ピッキングニュアンス | 出しやすい | 出せる | 反映されにくい |
| 向いているジャンル | ポップス・ブルース | ハードロック・メタル | ヴィンテージロック |
| 代表的な使い手 | Stevie Ray Vaughan等 | 多くのロック・メタルギタリスト | ジミ・ヘンドリックス、キース・リチャーズ |
一般的には、少量の歪みをオーバードライブと呼び、より重く歪んだものをディストーションと呼ぶ傾向にあります。歪みの区別は主観的なものが多く、はっきりした境界線があるわけではありません。
■ 明確な違いは実は存在しない
「ここからここまではファズ、ここからはディストーション」といったような明確な違いは、実は存在しません。製作者が「これはファズ」と言えばファズ、「ディストーションだ」と言えばディストーションという側面があります。
ただし「ファズ>ディストーション>オーバードライブ」の順に歪み量が多いというのが、ギタリストの共通したイメージです。名前だけで判断せず、実際に音を聴いて選ぶことが大切です。
■ 関連する用語:クランチとブースター
▼ クランチ(クランチサウンド)
「割れた音」のことで、一般的にはちょっとだけ歪んだ音のことを指します。オーバードライブほどは歪んでいない音というのが共通したイメージです。
▼ ブースター
一時的に歪み量を増やしたり、音量を上げたりするために使うエフェクターです。ギターソロなど、曲中で急激に音量が大きくなる場面で使われます。
■ 50代がエフェクターを選ぶときのポイント
▼ まずは音の傾向を知ってから試奏する
歪みの区別は主観的なものが多く少しわかりにくいかもしれません。楽器店などで音を聞き比べながら、自分に合った「歪み」を見つけることが大切です。
▼ 自分が弾きたいジャンルから逆算する
ブルースやロックが好きならオーバードライブ、ハードロックやメタルに憧れるならディストーション、個性的で唯一無二の音を求めるならファズ、というように、目指すジャンルから逆算して選ぶとわかりやすいです。
▼ 迷ったらオーバードライブから
オーバードライブは初めての歪み系エフェクターとして扱いやすい傾向があります。ギターの知識やスキルが身につけばつくほど面白くなってくるエフェクターで、アンプやギターとの組み合わせ、ピッキングの強弱など、いろんな要素によって奥深い音作りができます。
■ まとめ:3つの歪み系エフェクターの選び方
| こんな方に | おすすめ |
|---|---|
| 自然な音でコード弾きも楽しみたい | オーバードライブ |
| 迫力のあるロック・メタルサウンドが欲しい | ディストーション |
| 個性的で唯一無二の音を求めている | ファズ |
| 初めての歪み系エフェクターを選びたい | オーバードライブから始める |
オーバードライブ、ディストーション、ファズにはそれぞれ異なる個性があります。どれが良いかは楽曲やプレイスタイル、ギタリストの好みによって異なり、確かな正解はありません。それぞれの特性を意識して、自分の理想のサウンドに合ったエフェクターを見つけてみてください。
■ 音作りをプロと一緒に学びたい方へ
歪み系エフェクターの効果的な使い方は、オンラインレッスンでプロに教えてもらうと理解が一気に深まります。


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