「もう十分持っているのに、また新しいギターが気になってしまう」「気づいたら、ギターの本数がどんどん増えている」——ギターを続けている50代の方の中には、こんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした状態は「ギター沼」と呼ばれ、多くのギタリストが経験する、ある種お馴染みの現象です。この記事では、50代のギター再開者向けに、この「欲しくなる気持ち」との上手な付き合い方を考えてみます。
■ なぜギターは「もう1本欲しくなる」のか
ギターの買い替えや2本目の追加は、必須ではありませんが、更なる上達につながるという側面があります。1年ほど練習してある程度上達してくると、ギターに対する知識や自分のプレイスタイルが確立してきて、「違うタイプのギターも試してみたい」という気持ちが自然に湧いてくるものです。
▼ 「憧れ」の力
過去記事「憧れのギターで2本目を選ぶ」でも触れたように、見た目の個性が強いギターには「憧れの力」が働きます。好きなアーティストが使っているギターに近いものを持ちたいという気持ちは、決して不自然なものではありません。
▼ 「音の違い」を知る楽しさ
ボディ材、ピックアップ、ネックシェイプなど、それぞれのギターが持つ音の個性を知れば知るほど(過去記事「ボディ材による音の違い」「ネックシェイプの選び方」なども参考にしてください)、「この音も欲しい、あの音も試したい」という気持ちが生まれやすくなります。
■ ギターは「所有する喜び」も価値の一つ
高価なギターの魅力は、音質だけではありません。所有すること自体の喜び、演奏する時の気持ちの高まりも、大切な価値の一つです。ギターは練習道具であると同時に、所有して嬉しい楽器でもあります。
この「所有する喜び」自体を否定する必要はありません。趣味として、自分が心から楽しめるのであれば、それは十分に価値のあることです。
■ 一方で気をつけたいこと
▼ 弾かないギターが増えてしまう
新しいギターを手に入れる楽しさの一方で、以前買ったギターが、いつの間にか弾かれずにケースの中で眠ってしまうケースもあります。せっかくのギターが十分に活用されないのは、もったいないことです。
▼ 予算の管理が難しくなる
ギターは本体だけでなく、アンプやスタンドなどの周辺機器への投資も重要です。ここを削ると練習が続かなくなることもあるため、ギター本体だけに予算を集中させすぎると、全体のバランスが崩れることがあります。
▼ 「本当に必要か」を見失いやすくなる
欲しい気持ちが強くなると、「なぜこのギターが必要なのか」という理由が曖昧なまま、購入してしまうこともあります。
■ 「ギター沼」と上手に付き合うための考え方
▼ 「弾く目的」を明確にしてから検討する
新しいギターを検討する際は、「このギターで何を弾きたいのか」「今のギターでは何が足りないのか」を、一度整理してみることをおすすめします。目的が明確であれば、購入後も満足度の高い付き合い方ができます。
▼ 「今持っているギターを育てる」視点も大切にする
過去記事「アコギは弾き込むほど音が良くなるって本当?」でも触れたように、今持っているギターを弾き込むことで、新たな魅力に気づけることもあります。新しいギターを求める前に、今のギターとじっくり向き合ってみるのも一つの方法です。
▼ 予算に「上限」を決めておく
年間の予算や、1本あたりの上限金額をあらかじめ決めておくことで、無理のない範囲で「ギター沼」を楽しむことができます。
▼ 「本当に必要な1本」と「憧れの1本」を区別する
演奏スタイルの幅を広げるために必要な1本なのか、それとも純粋な憧れによる1本なのかを、自分の中で整理しておくと、後悔の少ない判断がしやすくなります。
■ 「体験を買う」という選択肢もある
新品での購入にこだわらず、レンタルという選択肢も検討する価値があります。所有することにこだわらず、「体験を買う」という視点でスタートするのも、賢い選択と言えます。
「気になるけど、本当に自分に合うかわからない」というギターがある場合、レンタルで試してみてから購入を検討するという方法も、失敗を減らす一つの工夫です。
■ 中古市場という選択肢
新品にこだわらず、状態の良い中古ギターを検討することで、予算内でより多くの種類のギターを楽しめる可能性もあります(過去記事「中古ギターの選び方」も参考にしてください)。ただし、状態確認は重要なので、保証や調整のある楽器店を優先することをおすすめします。
■ 増えたギターの活用方法
▼ 曲やジャンルに応じて使い分ける
複数のギターを持つことのメリットの一つは、曲やジャンルに応じて使い分けられることです。「この曲はこのギターで」というように、意図的に使い分けることで、それぞれのギターがしっかり活躍する機会を作れます。
▼ 定期的にすべてのギターに触れる習慣をつける
過去記事「ギタースタンドの選び方」でも触れたように、目に入る場所に置いておくことで、複数のギターすべてに触れる機会を作りやすくなります。
▼ 使わなくなったギターは手放すことも検討する
どうしても弾かなくなってしまったギターがある場合、無理に持ち続けるより、手放すことを検討するのも一つの方法です(過去記事「ギターを高く売るコツ」も参考にしてください)。
■ 50代がこの現象と向き合うメリット
▼ 自分の消費行動を客観視できる
「ギター沼」という現象を知っておくことで、自分が今どんな状態にあるのかを、少し離れた視点で見つめられるようになります。
▼ 無理のない範囲で趣味を楽しめる
欲しくなる気持ちを否定せず、かといって振り回されすぎず、自分なりのバランスを見つけることで、長くギターという趣味を楽しめます。
▼ 一つ一つのギターへの愛着が深まる
目的を持って選んだギターは、そうでないギターよりも、長く大切に使われる傾向があります。
■ 50代がこの視点を持つ際のアドバイス
▼ 「欲しい」という気持ちを一旦受け止める
欲しいと感じたこと自体を否定する必要はありません。まずはその気持ちを一旦受け止めた上で、本当に必要かどうかをゆっくり考える時間を持ちましょう。
▼ 焦って購入しない
気になるギターがあっても、すぐに購入を決めず、しばらく情報収集や試奏を重ねてから判断することをおすすめします。
▼ 自分なりの「ルール」を作っておく
予算の上限、購入前に試奏必須にするなど、自分なりのルールを事前に決めておくことで、後悔の少ない選択がしやすくなります。
■ まとめ:「ギター沼」との上手な付き合い方
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 沼にハマる理由 | 上達に伴う知識の増加・憧れの力・音の違いへの興味 |
| 気をつけたいこと | 弾かないギターの増加・予算管理・目的の曖昧さ |
| 上手な付き合い方 | 目的の明確化・予算の上限設定・レンタルや中古の活用 |
| 増えた後の工夫 | 用途で使い分ける・定期的に触れる・不要なら手放す |
「ギター沼」は、多くのギタリストが経験する、ある意味では趣味の楽しさの証でもあります。50代のギターライフに、自分なりのバランスを見つけながら、この気持ちとうまく付き合ってみてください。
■ ギター選びをプロに相談したい方へ
自分にとって本当に必要な1本を見極めるには、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。


コメント