「スタジオに行ったらいろんなツマミがあって、何から触ればいいかわからない」「自分の理想の音がなかなか作れない」——セッションやスタジオ練習を始めた50代のギタリストから、こんな声をよく聞きます。
音作りって言葉にすると簡単ですが、実際にやってみると自分の出したいサウンドにならず、もがいてしまうことも多いものです。この記事では、50代のギター再開者向けに、スタジオでのアンプ音作りの基本的な手順を解説します。
■ 最初にやってしまいがちな失敗
個人練習でスタジオに来た際に気をつけたいことが1つあります。あくまでライブを想定したボリュームでやる、ということです。
最初にやってしまいがちな方法は、いきなりマスターとゲインのツマミだけを上げまくることです。これをやってしまうと、横に並んでいるツマミをいじった途端にとんでもない音量になってしまい、気持ちの良い音が作れません。
■ ステップ1:まず全部12時に戻す
まずは、全部12時のところにツマミを回してみましょう。MASTER、GAIN、TREBLE、MIDDLE、BASSあたりがメインのツマミです。これらを一度全部真ん中の位置まで持っていきます。
この「フラットな状態」を基準にすることで、そこから何をどう変化させたかが自分でわかりやすくなります。いきなり好みの音を目指すのではなく、まず基準点を作ることが音作りの第一歩です。
■ ステップ2:クリーントーンから作り始める
音作りの基本となるクリーンサウンドでのセッティングから覚えましょう。エフェクターを上手く使うことで、単にアンプのゲインを絞って音量を上げただけの音とは一味違うサウンドメイクができます。
具体的なセッティングとしては、クリーンの場合はゲインの設定を、強くピッキングした時にかろうじてクランチトーンに届くくらいを目安にするとよいでしょう。
クリーントーンは歪みのサウンドと違い、コンプ感を基本はあまり伴わないため、音の立ち上がりが早くなる分、ギターのスペックによってはハイ上がりに聞こえることも多いです。耳障りな高音域がなければ、極端にカットする必要はありません。
■ ステップ3:歪みの量を調整する
一般的なハイゲイン(深いところまで歪む)アンプの場合、ゲインの目盛りは1時方向くらいでも十分に思うような歪みが得られることが多いです。
アンプにより歪み加減はまちまちなので、どのくらいの位置から自分の出したい音になるかは、各アンプと自身のギターとの兼ね合いで試してみることが大切です。
■ ステップ4:マスターボリュームを調整する
ゲインの設定が決まったら、次にマスターボリュームを上げていきます。ここで注意したいのが、他の楽器と合わせる際は自分の音だけ大きくならないようにすることです。各楽器の音が最低限聞こえるくらいのレベルで設定しましょう。
マスターボリュームやチャンネルボリュームが環境的に上げられない時は、ゲインを下げてボリュームを上げられる余裕を作り出すことが必要になります。
■ ステップ5:バンドの中でどう鳴るかを意識する
個人練習で良い音がするからといって、そのままのセッティングでバンドに合わせに行くと、音が埋もれる、あるいは周りの音をかき消すことになりがちです。「バンドの中でどう鳴るか」「楽器と機材の特性をどう活かすか」を考えながら音を作ることが重要です。
バンドの音作りは、個人のセッティング以上に「バンド全体のバランスを意識すること」が大切です。各楽器の帯域を整理し、音が被らないようにする、ギター同士の住み分けを考えミドルの調整を行う、ベースとドラムと噛み合うようにEQと歪みを調整する、という視点を持つことが、より完成度の高いサウンドにつながります。
■ 練習用と本番用でセッティングは変えるべきか
▼ 使い分ける派の考え方
ライブで使うモデルで練習するのも練習のうちという考え方があります。本番でレスポールを使うのに、練習でストラトを使っても効果が下がってしまうため、できるだけ本番と同じ環境で練習することが望ましいという意見です。
▼ 分けない派の考え方
全部本番用であり練習用、という考え方もあります。使い分けることが求める音色によるものであれば、道具として捉えて問題ないという立場です。
▼ 50代におすすめの考え方
どちらが正解ということはありませんが、まずは自分がよく使う機材で練習し、本番前にはできるだけ同じ環境で確認する、という段階的なアプローチがおすすめです。無理に複数の機材を使い分ける必要はなく、まず1つの環境に慣れることを優先しましょう。
■ エフェクターを使った音作りの基本パターン
▼ クリーントーンをベースにした音作り
コンプレッサーでサスティーンを長くし、コーラスやリバーブを深めにかけると、幻想的なサウンドを演出できます。ロングディレイも加えると、ギターの音色のみでも音楽的表現効果のあるセッティングになりますが、音像がぼやけてしまいがちなので、バンド演奏時には音が埋もれないよう調節することが大切です。
▼ オーバードライブを使った音作り
オーバードライブは、最も使用頻度の高いエフェクターです。他のエフェクターと組み合わせることで、単体で使うよりも豊かな表現ができます。イコライザーで全体のレベルを整音的に使うことで、音をまとめることもできます。
■ ギターソロの音作りの基本
▼ エフェクターで歪ませる場合
アンプはクリーントーンにセッティングします(もしくは歪ませていてもOKです)。
▼ アンプで歪ませる場合
アンプをディストーションチャンネルにセッティングし、ディレイなどの空間系エフェクターはセンド/リターン端子に繋ぐという方法もあります。
歪んだ音でギターソロを弾く場合、歪みペダルの後ろにディレイを繋いで、空間に奥行きを出すという使い方が定番です。歪んだギターソロにリバーブを薄くかけることもあります。
■ 50代がスタジオ音作りで意識したいこと
▼ まず基準を作ってから調整する
いきなり理想の音を目指すのではなく、フラットな状態から少しずつ調整していく方が、迷いにくく効率的です。
▼ 録音して確認する習慣をつける
リハーサルでの録音を確認し、音の抜けをチェックすることも有効です。自分では良いと思っていても、録音で聴くと印象が違うことがよくあります。
▼ PAとのコミュニケーションを大切にする
ライブハウスなど音響エンジニアがいる環境では、ギターの音量を適切に伝えることが重要です。会場の反響に合わせてリバーブの量を調整することも意識しましょう。
▼ 焦らず「自分の音」を育てていく
同じギター、同じアンプ、同じ設定で同じコードを弾いても、人によって出る音は厳密には違います。ピックの当たる強さや角度、押弦の力加減など、微妙な違いが「自分だけの音」を作り出します。あなたが理想とする音は、あなた自身にしか出すことができません。焦らず、自分の理想の音を少しずつ探求していきましょう。
■ まとめ:スタジオでの音作りの基本手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 12時に戻す | 全ツマミをフラットな状態にする |
| ② クリーントーンを作る | ゲインは控えめから始める |
| ③ 歪みを調整する | ハイゲインアンプは1時方向が目安 |
| ④ マスターボリュームを調整 | 他の楽器とのバランスを意識する |
| ⑤ バンド全体で聴く | 個人の音だけでなくアンサンブルを考える |
音作りは奥が深いテーマですが、基本の手順を知っていれば、迷いすぎることなく自分の理想の音に近づいていけます。50代のギターライフに、ぜひこの基本ステップを取り入れてみてください。
■ 音作りをプロと一緒に学びたい方へ
スタジオでの効果的な音作りは、オンラインレッスンでプロに教えてもらうと理解が一気に深まります。


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