「コードチェンジのたびに、つい手元を見てしまう」「暗譜したはずなのに、目を離すと弾けなくなる」——ギターを続けている50代の方から、こんな声をよく聞きます。
その克服法として意外に効果的なのが「目を閉じて弾く」という練習法です。人がキスをするときに目を閉じる理由があるように、視覚を頼らないことで、他の感覚が研ぎ澄まされるという考え方があります。
この記事では、50代のギター再開者向けに、目を閉じて弾く練習法の効果と実践方法を解説します。
■ なぜ「見ないで弾く」ことが上達につながるのか
コード表を見ながら練習するのではなく、指板上の指の形を視覚的に記憶し、目を閉じても正しく押さえられるように練習することが、確実で安定したコードチェンジにつながるとされています。
また、各コードの音の響きを耳で覚えることで、正しく押さえられているかを音で判断できるようになります。この「指と耳を使った練習」が、目を閉じる練習法の核心部分です。
■ 視覚に頼りすぎることのデメリット
▼ 手元を見ると姿勢が崩れる
手元を見るということは、下を向いてしまうということです。弾き語りの場合、下を向いていると声がくぐもってしまい、歌の魅力が十分に伝わらなくなります。聴き手を魅了する演奏には、指を見ずに顔を上げて弾くことが大切だと言われています。
▼ 本番で見られなくなると弾けなくなる
普段から視覚に頼りきって練習していると、暗い場所での演奏、緊張して手元が見えにくくなる場面、視線を客席に向けなければいけない発表会など、視覚情報が制限される状況で急に弾けなくなってしまうことがあります。
▼ 感覚の「頼りどころ」が一つに偏ってしまう
視覚だけに頼っていると、指の感覚(触覚)や、音の響き(聴覚)を使って自分の演奏をチェックする習慣が育ちにくくなります。
■ 目を閉じて弾く練習の具体的な方法
▼ ステップ1:まず目を開けた状態でしっかり練習する
いきなり目を閉じて練習するのではなく、まずは目を開けた状態で、指の形や動きをしっかりと体に覚えさせます。
▼ ステップ2:鏡や録画でフォームを確認する
鏡を見ながら弾いたり、練習姿を撮影して見返したりすることで、正しいフォームを客観的に確認します。この段階を経てから、目を閉じる練習に進むのがおすすめです。
▼ ステップ3:簡単なコードから目を閉じて弾いてみる
すでに慣れているコード(C、G、Am、Emなど)から、目を閉じて押さえる練習を始めましょう。最初はうまくいかなくても構いません。
▼ ステップ4:音の響きで確認する習慣をつける
目を閉じてコードを弾いた後、すべての弦がきちんと鳴っているかを耳で確認します。もし鳴っていない弦があれば、指の位置や力の入れ方を見直すきっかけになります。
▼ ステップ5:コードチェンジも目を閉じて練習する
1つのコードが目を閉じて押さえられるようになったら、次はコードチェンジそのものを、目を閉じたまま行う練習に進みます。
■ クラシックギターの世界でも重視される練習法
海外のクラシックギター奏者の間でも、「目を閉じて練習する」というアプローチは古くから重視されてきました。視覚情報を遮断することで、指の感覚そのものに意識を集中させ、より確実な技術の定着を促すという考え方です。
これは特定のジャンルに限らず、あらゆるギタリストにとって応用できる練習法と言えます。
■ この練習法が有効な理由:脳の仕組みから
脳は「正しい動き」を繰り返すことで神経回路(シナプス)を強化していきます。その神経を包む物質が厚くなることで、情報伝達のスピードと正確性が高まっていくとされています。
目を閉じて弾く練習は、視覚情報という「補助輪」を外した状態で正しい動きを反復することになるため、より本質的な運動記憶(体で覚える記憶)の定着を促すと考えられています。
■ 練習中に気をつけたいこと
▼ 焦らず、簡単なものから始める
いきなり難しいフレーズを目を閉じて弾こうとすると、フラストレーションが溜まってしまいます。まずは確実に弾けるコードから始めましょう。
▼ 無理に目を閉じ続けなくてよい
練習の全てを目を閉じて行う必要はありません。目を開けた練習と、目を閉じた練習を、目的に応じて使い分けることが大切です。
▼ 安全に配慮する
椅子に座って安定した状態で練習しましょう。立って演奏する場合は、周囲の安全にも気を配ってください。
■ 目を閉じて弾く練習が向いている場面
▼ コードチェンジの定着確認
ある程度覚えたコードチェンジが、本当に体に染み込んでいるかを確認するのに適しています。
▼ 弾き語りの練習
歌に集中しながら演奏するためには、コード進行を体で覚えていることが前提になります。目を閉じて弾けるレベルに達することで、歌との両立がスムーズになります。
▼ 本番前の最終確認
発表会やセッションなど、緊張して手元が見えにくくなる可能性がある場面の前に、目を閉じても弾けるかを確認しておくと安心感が高まります。
■ 50代がこの練習法に取り組むメリット
▼ 感覚を研ぎ澄ます練習として新鮮
長年ギターを弾いてきた方でも、目を閉じて弾くという発想は新しい練習法かもしれません。マンネリ化した練習に、新鮮な刺激を加えることができます。
▼ 「聴く力」も同時に鍛えられる
目を閉じて弾くことで、音の響きに意識が集中しやすくなります。これは、過去記事で紹介した「耳コピ」や「音楽の聴き方の変化」にもつながる、副次的なメリットです。
▼ 焦らず取り組める練習法
特別な道具や環境を必要としない、シンプルな練習法です。50代のペースで、じっくりと取り組むことができます。
■ 50代がこの練習法を取り入れる際のアドバイス
▼ まずは短時間から試してみる
いきなり長時間続ける必要はありません。1回のコードチェンジだけでも、まずは試してみることから始めましょう。
▼ うまくいかなくても落ち込まない
目を閉じて弾くことは、思っているより難しく感じるかもしれません。うまくいかないのは自然なことなので、焦らず繰り返し練習することが大切です。
▼ 日常の練習に少しずつ組み込む
普段の練習の最後の数分だけ、目を閉じてコードチェンジを確認するという習慣を取り入れるだけでも、効果を実感しやすくなります。
■ まとめ:目を閉じて弾く練習法
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 視覚に頼らず、指の感覚と耳の感覚を鍛える |
| 得られる効果 | 安定したコードチェンジ・本番での対応力 |
| 進め方 | まず目を開けて練習→簡単なコードから閉じて練習 |
| 向いている場面 | コードチェンジの定着確認・弾き語り・本番前の確認 |
| 心構え | 焦らず簡単なものから・全てを閉じる必要はない |
目を閉じて弾く練習は、シンプルながら奥深い効果を持つ練習法です。50代のギターライフに、ぜひこの新しい視点を取り入れてみてください。
■ 効果的な練習法をプロと一緒に見つけたい方へ
自分に合った練習方法は、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。


コメント