50代からのギター再開|人に教えると、自分の理解が深まります【教える側になる効用】

ギター練習

「孫がギターに興味を持っている」「同僚に少し教えてほしいと言われた」——ギターを再開して1年ほど経つと、こういう場面に出くわすことがあります。

多くの方は「自分はまだ人に教えられるレベルではない」と断ります。しかし、教えることには、教わる側だけでなく教える側にも大きな効用があります。

この記事では、人に教えることがなぜ自分の上達につながるのか、そして何をどう伝えればいいのかを整理します。


■ 「教えられるレベル」の誤解

まず、この点をはっきりさせておきます。

人に教えるのに、うまく弾ける必要はありません。必要なのは「相手より少し先を歩いていること」だけです。

初心者が最初に知りたいのは、高度なテクニックではありません。ギターの構え方、チューニングの合わせ方、最初に覚えるコード——これらは、再開して数ヶ月の人でも十分に伝えられる内容です。

むしろ、プロの講師より、少し前に同じ場所でつまずいた人のほうが、初心者の気持ちを正確に理解できることがあります。


■ 教えると自分が上達する4つの理由

▼ ① 言葉にすると、理解の穴が見つかる

「なぜこの押さえ方なのか」と聞かれて、答えられないことに気づく。これが最も大きな効用です。

なんとなくやっていた動作を説明しようとすると、自分が理解していない部分が明確になります。この「わかっていなかった」の発見が、次の練習の課題になります。

▼ ② 自分のフォームを見直すことになる

教えるときは、相手に見せながら弾きます。その過程で、自分の癖に気づくことがあります。「そういえば自分も親指が出ている」という具合です。

▼ ③ 基礎を復習する機会になる

再開から時間が経つと、基礎練習は飛ばしがちになります。教えることで、チューニング、構え方、基本のコードといった土台をもう一度確認することになります。

▼ ④ 責任が生まれ、練習の質が上がる

「次までにこれを弾けるようにしておこう」という意識が働きます。誰かに見られる前提があると、練習の集中度は自然と上がります。


■ 何から教えるか(順番)

もし誰かに教える機会が来たら、この順番が確実です。

順番内容目的
1構え方・持ち方痛みとフォーム崩れの予防
2チューニングの合わせ方一人でも練習できる状態にする
3開放弦を鳴らす音が出る楽しさを最初に体験させる
4コードを1つだけ達成感を早く与える
52つ目のコードと切り替え曲になる感覚を作る

いきなり曲を教えないでください。まず「音が出る」「1つ押さえられる」という小さな成功を積ませるほうが、相手は続きます。

▶ 最初の7日間にやることリスト


■ 教えるときの5つの注意点

▼ ① 一度に多くを伝えない

自分が知っていることを全部伝えたくなりますが、相手は覚えきれません。1回につき1つか2つに絞ってください。

▼ ② 「簡単だよ」と言わない

教える側には簡単でも、初めての人には簡単ではありません。この一言が相手を萎縮させます。

▼ ③ 弾いて見せすぎない

上手に弾いて見せると、相手は「自分には無理だ」と感じます。むしろ、ゆっくり分解して見せるほうが役に立ちます。

▼ ④ 相手の目的を先に聞く

弾き語りがしたいのか、ソロを弾きたいのか、なんとなく触ってみたいのか。目的によって、最初に教えるべきことは変わります。

▼ ⑤ 痛みについて先に伝えておく

指先が痛くなるのは正常であること、痛くなったら中断していいことを最初に伝えてください。これを知らずにやめてしまう人が非常に多くいます。

▶ 指の痛みとタコができるまで


■ 教える相手が見つからない場合

身近に教える相手がいなくても、同じ効果を得る方法があります。

▼ ① 誰かに説明するつもりで言葉にしてみる

「Fコードの押さえ方を、初めての人に説明するなら」と考えて、頭の中で文章にしてみます。これだけでも、理解の穴は見つかります。

▼ ③ ノートに書き出す

自分が理解したことを、初心者向けの説明文として書いてみます。書けない部分が、自分の理解が浅い部分です。

▼ ③ 演奏動画に説明を添える

自分の演奏を録画するとき、何を意識して弾いているかを一言添えてみる。これも同じ効果があります。


■ 50代だからこそ教えられること

技術面では、若い人のほうが速く上達することもあります。しかし、50代の再開者にしか伝えられないことがあります。

・ブランクがあっても戻れるということ
・痛みが出たら無理をしないという判断
・上達を焦らないという姿勢
・続けるための生活の中の工夫

これらは、若い頃に一気に上達した人には語れない部分です。同世代がギターを始めようとしているとき、最も説得力があるのは同世代の言葉です。


■ ただし、無理に引き受けない

教えることには時間と労力がかかります。自分の練習時間が削られて負担になるようなら、断って構いません。

また、報酬を受け取って継続的に指導する場合は、責任の性質が変わります。趣味の範囲で、頼まれたときに少し見せる、という程度が50代の再開者には無理のない形です。

▶ レッスンを受けるべきか迷ったときの判断ガイド


■ まとめ

ポイント内容
前提うまく弾ける必要はない、少し先を行っていればいい
効用理解の穴が見つかる、基礎を復習できる
順番構え方 → チューニング → 開放弦 → コード1つ
注意一度に多く教えない、「簡単だよ」と言わない
相手がいない場合説明を言葉にする、書き出す

人に説明できて初めて、本当に理解したと言えます。次に誰かに聞かれたら、少しだけ引き受けてみてください。

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