「ベースといえば、あの弦を叩く弾き方をやってみたい」——スラップ(チョッパーとも呼ばれます)に憧れてベースを始めた方は少なくありません。
先に正直に書いておきます。スラップは、ベースを弾くうえで必須の技術ではありません。多くの曲は指弾きかピック弾きで演奏されており、スラップが使われる場面は限定的です。
ただし、できると演奏の幅が広がり、練習そのものが楽しくなります。この記事では、基本の2つの動作から解説します。
■ スラップとは何か
親指で弦を叩き、人差し指で弦を引っ張り上げる奏法です。打楽器のような硬いアタック音が出るのが特徴です。
・1970年代のファンクで広まった
・現在はロック、ポップス、フュージョンでも使われる
・指弾きとは音の性格がまったく異なる
指弾きが「支える」音なら、スラップは「前に出る」音です。
■ 基本は2つの動作だけ
▼ ① サムピング(親指で叩く)
親指の側面で、太い弦(主に4弦・3弦)を叩きます。
・手首の回転で叩く(腕を振らない)
・弦に当てたら、すぐ跳ね返す
・ドアノブを回すような動きをイメージする
親指を弦に押し付けたままにすると、音が詰まります。当てて、離す。この2つで1つの動作です。
▼ ② プル(人差し指で引っ張る)
人差し指を細い弦(主に1弦・2弦)の下に入れ、上に引っ張って離します。
・指を深く入れすぎない(第一関節あたりまで)
・上に引くのではなく、少し外側へ弾く
・弦が指板に当たる音が、スラップらしさを作る
■ 最初の練習
▼ ステップ1:サムピングだけ
4弦の開放弦を、親指で8回叩きます。
・音量が揃っているか
・音が詰まっていないか
・手首だけで動かせているか
これができるまで、プルには進まないでください。ここが土台です。
▼ ステップ2:プルだけ
1弦の開放弦を、人差し指で8回引きます。
・毎回同じ音量が出るか
・弦が指板を叩く音が出ているか
▼ ステップ3:交互に
「サム・プル・サム・プル」と交互に繰り返します。最初はゆっくり、拍を意識して。
▼ ステップ4:リズムパターンに乗せる
サムを1拍目と3拍目、プルを2拍目と4拍目に置くと、基本のリズムパターンになります。ここまで来れば、スラップとして成立しています。
■ 50代が取り組むときの注意点
▼ ① 手首を痛めやすい
サムピングは手首の回転を繰り返す動作です。力任せに叩くと、手首に負担が集中します。
・練習は1回10分程度に区切る
・痛みや違和感が出たら即中断する
・ウォームアップをしてから始める
50代では回復に時間がかかります。無理をして数週間練習できなくなるより、少しずつ進めるほうが結果的に早く身につきます。
▼ ② 音量を出そうと力まない
強く叩けば良い音が出るわけではありません。むしろ力むと、音が詰まって硬くなります。
アンプの音量を上げて、弱く叩いても十分な音が出る状態を作ってください。
▼ ③ 弦高が低すぎると弾きにくい
スラップは弦が指板に当たる音を利用します。弦高が極端に低いと音が詰まり、高すぎると弦が指板に届きません。
うまくいかない場合、技術ではなくセッティングが原因のこともあります。
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■ できるようになるまでの期間
| 段階 | 目安 |
|---|---|
| サムピングで安定した音が出る | 2〜4週間 |
| プルが安定する | 2〜4週間 |
| 交互に繰り返せる | 1〜2ヶ月 |
| リズムパターンとして使える | 3〜6ヶ月 |
半年かけて基本形ができれば十分です。焦って毎日長時間叩くと、手首を痛めます。
■ できなくても困らない、という前提
冒頭にも書きましたが、スラップは必須ではありません。
・弾き語りやポップスの伴奏では、ほぼ使わない
・バンドで求められる場面は限定的
・指弾きの精度を上げるほうが、実用的には効果が大きい
「スラップができないとベーシストとして不十分」ということはまったくありません。興味があるなら取り組む、そうでなければ後回しでよい、という位置づけです。
実際、ルート音を正確に鳴らし、ドラムと噛み合う演奏ができるベーシストのほうが、バンドでは重宝されます。
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■ 練習に組み込むなら
毎日の練習の最後に5分だけ充てる、という形が現実的です。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 5分 | ウォームアップ |
| 15分 | 基礎練習(指弾き・ルート弾き) |
| 5分 | 曲の練習 |
| 5分 | スラップ(サム→プル→交互) |
メイン練習を圧迫しない範囲で、少しずつ積み上げてください。
■ まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 動作 | サムピング(親指で叩く)とプル(人差し指で引く) |
| サムのコツ | 手首の回転、当てて離す |
| プルのコツ | 深く入れず、外側へ弾く |
| 練習順 | サムだけ → プルだけ → 交互 → リズム |
| 注意 | 手首を痛めやすい、10分で区切る |
| 前提 | 必須の技術ではない、できなくても問題ない |
まずは4弦を親指で8回、詰まらない音で叩けるかどうか。そこから始めてみてください。


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