「アコギのボディが片側だけえぐれている形、あれは何のためなんだろう」「見た目がかっこいいだけで選んで大丈夫?」——ギター選びをしている50代の方から、こんな疑問をよく聞きます。
カッタウェイとは、ギターのボディのネック寄りの部分が、片側だけえぐり取られたような形状のことです。この特徴的な形状には、見た目のデザイン性だけでなく、演奏性に関わる重要な機能があります。
この記事では、50代のギター再開者向けに、カッタウェイのメリット・デメリットと、自分に必要かどうかの見極め方を解説します。
■ カッタウェイとは何か
「カッタウェイ」という名称は、英語の「cut away(切り取る)」がそのまま由来となっています。ギターのハイポジション、つまりボディに近い高音域のフレットを、左手で押さえやすくするために設計された形状です。
通常のギターでは、構造上14フレットあたりまでが演奏の限界となることが多いですが、カッタウェイがあることで、20フレット付近までスムーズに指が届くようになります。1フレット、2フレット……と進むにつれて高い音が出るようになるギターにとって、12フレット以降の「ハイポジション」に手が届きやすくなるのが、カッタウェイの最大の役割です。
■ カッタウェイの2つの形状
▼ ベネチアンカッタウェイ(ラウンデッドカッタウェイ)
カーブが滑らかで、丸みを帯びたデザインが特徴です。見た目が柔らかく、クラシックな雰囲気を持つギターに多く採用されています。YAMAHAやMartinのカッタウェイモデルも、基本的にこちらの形状が採用されています。
▼ フローレンティンカッタウェイ(ポインテッドカッタウェイ)
ベネチアンカッタウェイとは対照的に、カーブが急でシャープな形状をしています。よりアグレッシブな外観を求めるギタリストに人気があり、ギブソンの古いモデルなどに採用されている例もあります。
■ カッタウェイのメリット
▼ ① ハイポジションでの演奏性が格段に向上する
これがなければカッタウェイという形状は生まれなかったと言えるほど、最大のメリットは演奏性(プレイヤビリティ)の向上です。ボディに近いくぼみに手が入りやすくなり、ハイポジションでのフィンガリングが格段にしやすくなります。
▼ ② ソロギターには「なくてはならない」存在
アコースティックギターだけでメロディーと伴奏を同時に演奏する「ソロギター」というスタイルでは、カッタウェイは単なる便利な機能ではなく、必須の装備と言われるほど重要です。低音弦でベースラインを弾きながら、高音弦で12フレット以上のハイポジションを頻繁に行き来してメロディを奏でるため、カッタウェイがなければ演奏が極めて困難になるフレーズも少なくありません。押尾コータローさんなど、世界的なフィンガースタイルギタリストの多くが、カッタウェイ付きのギターを愛用しています。
▼ ③ スタイリッシュな見た目
抱えた時に通常のギターよりスタイリッシュに見えるという声も多く、見た目の魅力もカッタウェイのメリットの一つです。演奏する楽しみが増え、練習のモチベーションを保つ助けになるという意見もあります。
■ カッタウェイのデメリット
▼ ① 生音の音量・響きがやや控えめになる傾向がある
ボディの一部が削られることで共鳴空間が減少し、ギター全体が響いて生まれる自然な音量や、豊かな低音域が少し損なわれる傾向があります。アコースティックギターは生の音で演奏する楽器のため、この影響を受けやすいとされています。
▼ ② 価格がやや高くなる傾向がある
同モデルでカッタウェイあり・なしを比較すると、カッタウェイモデルの方が製造工程が複雑になる分、価格が高めに設定されることがあります。
■ 「音への影響」については意見が分かれる
カッタウェイによる音質への影響については、実は専門家の間でも見解が分かれています。
ある弾き語りシンガーソングライターの実体験では、カッタウェイのギターとノンカッタウェイのギターを比較しても、音量や響きが気になることはなかったといいます。カッタウェイかどうかよりも、木材やブレーシング(内部の力木)の方が、音への影響力は圧倒的に大きいという指摘もあります。
一方で、「音の鳴りを重視するなら、あえてカッタウェイのないモデルを選ぶ」という考え方をするプレイヤーも一定数存在します。特に伝統的なフォークギターやクラシックギターでは、ノンカッタウェイの形状が主流です。
■ 自分にカッタウェイが必要かどうかの見極め方
▼ 弾き語りがメインの方
弾き語りなどのジャンルでは、ハイフレット(ハイポジション)を使う場面自体が少ないため、カッタウェイの必要性は低いとされています。この演奏スタイルでカッタウェイを選ぶ場合は、主に見た目の好みによる選択と考えて良いでしょう。
▼ ソロギターに興味がある方
将来的にソロギターに挑戦してみたいと考えているなら、最初の1本としてカッタウェイ付きのモデルを選んでおくことは、賢明な選択と言えます。最初からハイポジションに触れられる環境は、練習の選択肢を広げ、上達へのモチベーションを高く保つ助けにもなります。
▼ カポやコードチェンジの練習が中心の方
まずは基本的なコードを覚えて弾き語りを楽しみたいという目標であれば、カッタウェイは必ずしも必須の機能ではありません。
■ シングルカッタウェイとダブルカッタウェイ
エレキギターの場合、カッタウェイには「シングル」と「ダブル」の2種類があります。
▼ シングルカッタウェイ
ボディの高音弦側(1弦側)のみがえぐられているデザインです。右手のピッキング時のバランスを保ちつつ、ハイポジションでの演奏がしやすくなります。非常に理にかなった、スタンダードなデザインです。
▼ ダブルカッタウェイ
高音弦側と低音弦側(6弦側)の両方がえぐられているデザインです。左右どちらの手もハイポジションへアクセスしやすくなり、テクニカルな演奏を多用するギタリストに人気があります。
■ 初心者にとってのカッタウェイという投資
初心者にとって「カッタウェイ=将来の演奏の幅を広げる投資」という考え方もあります。「いつかあんな風に弾きたい」という憧れを実現する可能性を広げてくれるのが、カッタウェイの大きなメリットです。
多くの初心者向けセット商品がカッタウェイモデルを採用していることからも、その需要の高さがうかがえます。5万円以下の予算でも、トップ単板のカッタウェイモデルは存在します。
■ カッタウェイ=エレアコとは限らない
カッタウェイのギターは、アンプに接続できる「エレアコ」であることが多いですが、必ずしもイコールではありません。生音のみのアコースティックギターにカッタウェイが施されているモデルも存在します。エレキギターやエレアコにおいては、アンプを通した音での演奏が前提となるため、生音の音量が多少落ちても、それほど大きなデメリットにはなりにくいとされています。
■ 50代がカッタウェイを検討する際のポイント
▼ 自分の演奏スタイルを見つめ直す
現在、どんな演奏を中心にしているか、これからどんな演奏に挑戦したいかを考えることが、カッタウェイの必要性を判断する第一歩です。
▼ 実際に試奏して確かめる
最終的には、楽器店で実際にギターを手に取り、抱え心地や音色を確かめることが最も大切です。カッタウェイの有無による違いを、自分の耳と手で確認してみましょう。
▼ デザインの好みも大切な判断基準にしてよい
音質への影響がそれほど大きくないという意見も多いことを踏まえると、最終的にはデザインの好みで選んでしまうという判断も、十分に理にかなっています。
■ まとめ:カッタウェイのメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット① | ハイポジションでの演奏性が向上する |
| メリット② | ソロギターには必須級の重要な機能 |
| メリット③ | スタイリッシュな見た目 |
| デメリット① | 生音の音量・響きがやや控えめになる傾向 |
| デメリット② | 価格がやや高めになることがある |
| 判断基準 | ソロギター志向なら必須、弾き語り中心なら好み次第 |
カッタウェイは、ハイポジションでの演奏性を向上させる一方、音質面ではトレードオフもある形状です。自分の演奏スタイルや目指す方向性を踏まえて、次のギター選びの参考にしてみてください。
■ 自分に合ったギター選びをプロに相談したい方へ
カッタウェイを含めた自分に合ったギター選びは、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。


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