「コードは覚えたけど、もっと違う響きのギターも弾いてみたい」「スライドギターに憧れるけど難しそう」——コードにある程度慣れてきた50代のギタリストから、こんな声をよく聞きます。
その答えの一つが「オープンチューニング」です。通常のチューニングとは異なる調弦にすることで、開放弦を鳴らすだけでコードが響く、まったく新しい世界が広がります。
この記事では、50代のギター再開者向けにオープンチューニングの基本・種類・楽しみ方を解説します。
■ オープンチューニングとは何か
オープンチューニングとは、ギターの弦の音程を調整し、フレットを押さえずに開放弦を鳴らすとコードになるようにするものです。全ての弦を指で押さえることなくフルコードを演奏することができ、演奏のしやすさやユニークなハーモニーの質感など、可能性が広がります。
普段のレギュラーチューニング(E・A・D・G・B・E)では、コードを弾くには複数の指でフレットを押さえる必要があります。しかしオープンチューニングでは、何も押さえなくても開放弦を鳴らすだけでメジャーコードが響くのです。
■ オープンチューニングのメリット
▼ ① 開放弦の美しい響きが楽しめる
開放弦の響きが美しいというのが、オープンチューニングの一番の利点です。普段押さえて弾いているコードとは一味違う音色が響きます。
▼ ② 難しいコードが簡単に弾ける
オープンチューニングを使用すると、指一本でロックやブルースで使われる主だったコードを網羅することができます。バレーコードのような複雑な押さえ方をしなくても、豊かな和音が鳴らせます。
▼ ③ 新しいインスピレーションが生まれる
普段の運指でも鳴る音が変わるので、新しい響きと出会え、作曲や演奏のアイデアが湧いてくることもあります。同じフレーズを弾いても、レギュラーチューニングとは全く違う雰囲気になるのが魅力です。
■ 代表的なオープンチューニングの種類
▼ オープンG(最も有名・キースリチャーズが愛用)
ローリングストーンズのキースリチャーズの代名詞となっているチューニングです。レギュラーチューニングから6弦・5弦・1弦を変更して作ります。ロックキッズにも馴染み深いチューニングとして知られています。
▼ オープンD(フォーク・ブルースの定番)
レギュラーチューニングから6弦と1弦を全音下げて、3弦と2弦を半音下げることで作ります。初期のアメリカンフォークやブルースミュージックの基礎となったチューニングで、フィンガーピッキングやスライドギターに理想的な、ふくよかで鳴り響くサウンドを提供します。
▼ オープンE(ロック・ブルースで人気)
オープンDから全弦を1音上げたチューニングです。オールマンブラザーズバンドのデュアン・オールマンなど、伝説的なスライドギター奏者が愛用しています。
▼ DADGAD(アイリッシュ・ケルティックな響き)
アイルランド音楽で好まれているチューニング方法で、メジャー調ともマイナー調ともいえない独特の自由さのある響きが得られます。レギュラーチューニングから6弦・2弦・1弦を1音下げることで作れます。民族的な雰囲気が病みつきになる、変則チューニング入門にも最適な選択肢です。
■ オープンチューニングと相性の良い「スライドギター」
オープンチューニングで活きるのが「スライドギター」という奏法です。ボトルネックやスライドバーと呼ばれる筒状の道具を指にはめて、ギターの弦に当てながら音を出す奏法です。
▼ スライドギターの仕組み
ギターの5フレットを押さえると開放弦に対して完全4度上、7フレットは完全5度上の音が出ます。開放弦がDコードならば、スライドバーを5フレットに当てるとGコード、7フレットに当てるとAコードが出ます。このように、オープンチューニングを使うと簡単にスリーコードを奏でることができます。
▼ スライドギターの魅力
味わい深いギターのトーンとメロディが心を揺さぶる独特の表現が可能になります。フレットを押さえる代わりにバーを滑らせることで、なめらかな音程の移り変わりが生まれ、人の声のような表現力豊かな演奏ができます。
■ 50代がオープンチューニングを楽しむメリット
▼ 長年聴いてきた音楽との接点がある
ローリングストーンズ、レディオヘッド、ブルース・スプリングスティーンなど、多くの名曲がオープンチューニングで作られています。50代の方が長年聴いてきた楽曲の中に、オープンチューニングの音が既に染み込んでいることも多いはずです。
▼ 新しいチャレンジがマンネリを打破する
同じコードを長く弾いていると練習がマンネリ化しがちです。オープンチューニングという新しい響きに触れることで、ギターへの新鮮な興奮を取り戻すきっかけになります。
▼ フィンガーピッキングとの相性が良い
親指でベースラインを、他の指でメロディや和音を奏でるフィンガースタイルは、オープンチューニングとの相性が抜群です。ソロギターに興味がある50代の方には特におすすめの組み合わせです。
■ オープンチューニングを試す際の注意点
▼ 弦への負担に気をつける
頻繁にチューニングを変えているとストレスがかかり、弦の寿命が短くなる傾向があります。また弦をレギュラーチューニングよりも緩めたり締めたりするため、弦が緩くなったり切れる可能性があるので、弦の太さにも注意が必要です。
▼ チューナーで正確に合わせる
音を間違えるとネックに負担がかかったり、弦が切れる場合もあります。はじめは構成音をメモしたものを用意して作業に取り組むのがおすすめです。チューナーにオープンチューニングモードがあればそのモードを、なければクロマチックモードに設定しましょう。
▼ 一気に全部覚えようとしない
オープンチューニングは種類が多く、一気に全部覚えるのは至難の技です。最初はオープンGかオープンDなど、興味のある1つから試して、その都度確認しながら練習していくことをおすすめします。
■ 50代からのオープンチューニング入門ステップ
▼ ステップ1:まずオープンDかオープンGを試す
比較的シンプルで、練習の効果を感じやすいオープンGやオープンDから始めましょう。
▼ ステップ2:開放弦を鳴らして響きを楽しむ
まずは何も押さえずに全弦を鳴らして、レギュラーチューニングとの音の違いを体感してみましょう。
▼ ステップ3:好きな曲を参考に演奏する
手持ちのギターをオープンチューニングにしたけどどう弾いたらいいか分からない場合は、実際に使われている曲を参考にするのがおすすめです。ローリングストーンズの「Brown Sugar」など、オープンGを使った印象的なリフを聴きながら練習すると理解が深まります。
▼ ステップ4:スライドバーに挑戦する
慣れてきたら、スライドバーを使った演奏にも挑戦してみましょう。最初はゆっくりとしたテンポで、音程の移り変わりを丁寧に確認しながら練習することが大切です。
■ まとめ:オープンチューニングの世界
| チューニング | 特徴 |
|---|---|
| オープンG | ロックの定番・キースリチャーズが愛用 |
| オープンD | フォーク・ブルースの基礎・スライドに最適 |
| オープンE | ロック・ブルースで人気・伝説的なスライドソロ多数 |
| DADGAD | アイリッシュ・民族的な響き |
オープンチューニングは、ギターに対する見方を大きく変えてくれる魅力的な世界です。これからギターを始める方にも、何年も弾いている50代の方にも、新しい発見と楽しみを与えてくれます。まずは1つのチューニングから、気軽に試してみてください。
■ オープンチューニングをプロと一緒に学びたい方へ
スライドギターやオープンチューニングの演奏法は、オンラインレッスンでプロに教えてもらうと理解が深まります。


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