50代からのギター再開|サスティン(音の伸び)は長ければ良いわけではない【誤解されがちな関係性】

ギター機材

「このギターはサスティンが長くて良い音だ」——そんな言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。過去記事「ボディ材による音の違い」「ネックジョイントの種類」でも音の要素に触れてきましたが、実はサスティン(音の伸び)については、よくある誤解がいくつかあります。

この記事では、50代のギター再開者向けに、サスティンの正しい理解と、その活かし方を解説します。


■ サスティンとは何か

サスティンとは、ギターやその他楽器における音の持続の長さを指す言葉です。エレキギターでよく使われる言葉であり、一般的には、より長く持続するものが良いとされる傾向があります。

サスティンの長さは、ギター本体の材質や構造、パーツなどによって左右されますが、弦高を適度に上げてフレットと当たらないようにするなど、セッティング面でもある程度コントロールできます。


■ よくある誤解①「生鳴りが大きい=アンプを通した音も良い」

エレキギターの生音(アンプに繋がない状態)が大きく響くと、「アンプに通しても良い音がする」と考えがちですが、これは必ずしも正しくありません。

生音にエネルギーを使っているということは、その分、アンプへ送られる電気信号は小さくなっているという前提があります。もちろん、こうしたサウンドが好みであれば、それを「良い音」と表現すること自体は間違いではありません。ただし、「生鳴りが大きい=アンプを通した音が優れている」と単純に結びつけるのは、危険な考え方だとされています。


■ よくある誤解②「ボディがよく鳴る=サスティンも長い」

もう一つの代表的な誤解が、「ボディがよく鳴っているギターは、サスティンも長いはずだ」という考え方です。

実は、ボディがよく鳴る楽器の代表格であるアコースティックギターは、むしろサスティンが短い楽器だとされています。この2つの事項(ボディの鳴りとサスティンの長さ)は、実は対極にある性質であり、単純に結びつけられるものではないのです。


■ なぜこうした誤解が生まれるのか

ギターという楽器は、弦の振動エネルギーが、どこに使われるかによって、その特性が大きく変わってきます。

▼ エネルギーの「使われ方」という視点

弦の振動エネルギーが、ボディを大きく鳴らすことに使われれば、その分「音量」や「豊かな倍音」という形で現れやすくなります。一方、エネルギーが弦自体の振動を長く保つことに使われれば、それが「サスティン(音の伸び)」として現れます。

つまり、限られたエネルギーが「どこに向かうか」によって、ギターの音の性格は変わってくるのです。そのギターがどこを鳴らすように設計され、製作されているのかを理解して、自分が鳴らしたいサウンドにマッチするかを判断することが重要だとされています。


■ 「サスティンが長ければ良い」わけではない理由

サスティンが長ければ長いほど良いという考え方も、実は一面的な見方です。音楽的な文脈によっては、あえてサスティンが短い、歯切れの良いサウンドが求められる場面もあります。

例えば、1960〜1970年代のロックサウンドでは、あえてサスティンの短い、歯切れの良い音が好まれる傾向がありました。過去記事「シングルコイルとハムバッカーの違い」でも触れたように、カッティングを多用する演奏スタイルでは、こうした短めのサスティンが、むしろ魅力になることもあります。


■ サスティンに影響を与える要素

▼ 弦高

弦高を適度に上げて、フレットと弦が余計に接触しないようにすることで、弦振動を長く保ちやすくなります(過去記事「弦高の目安と調整方法」も参考にしてください)。

▼ フレットの形状

フレットの頭の形状によっても、サスティンは変化します。弦との接地面積が多いと、音の伸びは悪くなる傾向があるとされています。

▼ ナットの材質

ナットの材質を変えることで、サスティンが変わるという説もありますが、実際に試してみても、体感できるほどの変化を感じなかったという報告もあり、効果には個人差があるようです(過去記事「ナット・サドルの素材と音の違い」も参考にしてください)。

▼ ピッキング・ビブラートなどのテクニック

機材だけでなく、フィンガリングやピッキングの精度、そしてビブラート(過去記事「ビブラートのかけ方」参照)を上手く効かせることでも、音を長く伸ばすことができます。技術面でのアプローチも、サスティンを活かす上で大切な要素です。


■ サスティナーという専門的な機材

サスティンをより長く持続させるための、専用の機材も存在します。専用のピックアップやパーツを埋め込む必要があり、ボディを削る作業が伴うため、リペアショップへの依頼が必要な、専門的な改造です。興味がある場合は、無理に自分で作業しようとせず、専門店に相談することをおすすめします。

▼ コンプレッサーという手軽な選択肢

サスティナーほど大掛かりではなく、音を圧縮して整える「コンプレッサー」というエフェクターでも、比較的長いサスティンを得ることができます(過去記事「コンプレッサーの使い方」も参考にしてください)。


■ 「音がペラペラで伸びない」と感じたときの原因

エレキギターの音が薄っぺらく、伸びないと感じる原因は、実は多岐にわたります。

▼ 機材のセッティング

ネックの反りやピックアップの高さは、音質に直結する要素です。過去記事「自分でできるネックの反りチェック方法」も参考にしながら、まずは基本的な状態を確認してみましょう。

▼ アンプ・エフェクターの設定

過剰なディストーションや、極端なミッドカット(中音域の削りすぎ)は、音の芯を失わせ、ペラペラな印象を与えてしまうことがあります(過去記事「クリーントーンの作り方」も参考にしてください)。

▼ プレイテクニック

ピッキングの力加減やフィンガリングの精度が不安定だと、弦の振動が十分に伝わらず、音が途切れやすくなります。


■ 50代がこの知識を持つメリット

▼ 「良い音」の基準を自分で判断できるようになる

サスティンが長いこと自体が「良い音」の絶対条件ではないと知ることで、他人の評価に左右されず、自分にとっての「良い音」を見極められるようになります。

▼ ギター選びの視点が深まる

新しいギターを検討する際、単に「サスティンが長い」という宣伝文句に惑わされず、自分の演奏スタイルに本当に合っているかを、より深く考えられるようになります。

▼ 音作りへの理解が総合的に深まる

過去記事「ボディ材による音の違い」「シングルコイルとハムバッカーの違い」なども合わせて理解することで、ギターの音作り全体への理解が深まります。


■ 50代がこの知識を活用する際のアドバイス

▼ 「サスティンが長い=良いギター」と思い込まない

自分が求めているサウンドが、長いサスティンなのか、それとも歯切れの良い短めのサスティンなのかを、まず考えてみましょう。

▼ 実際に弾いて確認する

理論的な知識を持った上で、最終的には実際に試奏して、自分の耳と手で確認することが最も確実です。

▼ 音の性格を「設計思想」として理解する

そのギターが、どんな音を目指して作られているのかという視点を持つことで、より深くギターという楽器を理解できるようになります。


■ まとめ:サスティンにまつわる誤解と正しい理解

誤解実際のところ
生鳴りが大きい=アンプの音も良い生音にエネルギーが使われる分、電気信号は小さくなることも
ボディがよく鳴る=サスティンが長いアコギはボディがよく鳴るがサスティンは短い傾向
サスティンは長ければ良いジャンルや演奏スタイルによって、短いサスティンが好まれることも

サスティンは、単純に「長ければ良い」というものではなく、ギターの設計思想や、自分が求めるサウンドとの相性で判断すべき要素です。50代のギターライフに、ぜひこの視点を取り入れて、より深くギターの音と向き合ってみてください。


■ 自分に合った音作りをプロに相談したい方へ

サスティンを含めた自分に合った音作りは、オンラインレッスンでプロに相談すると具体的なアドバイスが得られます。

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