「昔買ったギターが押し入れに眠っている」「10年以上触っていないけれど、まだ使えるだろうか」——ギター再開を考えている50代の方から、こんな相談をよく受けます。
結論から言えば、長期間放置されていたギターの多くは、点検と簡単な手入れで再び使えるようになります。買い直す前に、まず今あるギターの状態を確認してみてください。
この記事では、久しぶりに取り出したギターをチェックする手順を7項目に整理しました。
■ 取り出す前に:急激な環境変化を避ける
押し入れや物置から出したギターを、いきなり暖房の効いた部屋やエアコンの風が当たる場所に置くのは避けてください。急激な温度・湿度の変化は、木材の割れや塗装のひび割れの原因になります。
ケースから出す前に、数時間そのまま部屋に置いて環境に慣らすと安心です。
■ チェック①:ネックの反り
最も重要な確認項目です。ギターを立てて構え、6弦側から指板の面を目線の高さで見通します。
| 状態 | 見え方 | 症状 |
|---|---|---|
| 正常 | ほぼまっすぐ(わずかに凹) | 問題なし |
| 順反り | 中央がへこんで見える | 弦高が高くなり押さえにくい |
| 逆反り | 中央が盛り上がって見える | 音がビビる |
軽度の反りは調整で直せますが、トラスロッド(ネック内部の調整棒)の操作は失敗するとネックを傷めます。自分で回さず、楽器店に相談してください。
■ チェック②:ボディやネックの割れ
乾燥した環境で長期保管されたギターは、木材が縮んで割れが生じることがあります。
・トップ(表板)に線状のひび
・ネックとボディの接合部の隙間
・ブリッジの浮き上がり
ブリッジが浮いている場合は、弦を張ると一気に剥がれる危険があります。この状態が見つかったら、弦を張る前にリペアショップへ相談してください。
■ チェック③:弦の状態
10年前の弦は、見た目に問題がなくても確実に劣化しています。錆びていなくても金属疲労で切れやすく、音も伸びません。
再開時は必ず新品に交換してください。数百円から千円台の投資で、演奏感が別物になります。
■ チェック④:ペグ(糸巻き)の動き
弦を緩めた状態で、ペグを回してみます。
・スムーズに回るか
・極端にゆるい、または固すぎないか
・つまみがぐらついていないか
ネジのゆるみが原因の場合、ドライバーで軽く締めるだけで改善することがあります。締めすぎには注意してください。
■ チェック⑤:フレットの状態
指板の金属部分(フレット)に、緑青(青サビ)や黒ずみが出ていることがあります。軽い汚れであればクロスで拭き取れます。
強く錆びている場合や、フレットが浮いて指に引っかかる場合は、専門店での処置が必要です。
■ チェック⑥:指板の乾燥
ローズウッドなどの無塗装指板が白っぽくカサついている場合、乾燥が進んでいるサインです。弦を外したタイミングで、専用の指板オイルを薄く塗ると改善します。
塗りすぎは逆効果なので、少量を薄く伸ばして拭き取るのが基本です。
■ チェック⑦:エレキの場合は電気系統
エレキギターの場合、以下も確認します。
| 項目 | 症状の例 |
|---|---|
| ジャック | 挿しても音が出ない・接触が不安定 |
| ボリューム/トーン | 回すとガリガリとノイズが出る |
| ピックアップ | 音が出ない・極端に小さい |
接点の汚れが原因のことが多く、専用のクリーナーで改善する場合があります。改善しない場合は配線の劣化が考えられます。
■ 自分でやること・店に任せること
| 自分でできる | 楽器店に任せる |
|---|---|
| 弦の交換 | ネックの反り調整 |
| 全体の拭き掃除 | フレットのすり合わせ |
| 指板のオイルケア | ブリッジの剥がれ修理 |
| ペグのネジ締め | 電気系統の修理 |
判断に迷ったら、まとめて楽器店に持ち込む「点検・セットアップ」を依頼するのが確実です。数千円程度で、弦交換から弦高調整まで一通り見てもらえます。
■ 買い直す前に、点検を検討する価値
久しぶりに弾いてみて「弾きにくい」と感じると、多くの人は新しいギターを検討します。しかし、その弾きにくさの原因が反りや弦高であれば、調整で解消します。
さらに、若い頃に手に入れた1本には、当時の記憶が結びついています。同じ楽器で再開できることは、それ自体が再開を続ける動機になります。
■ まとめ
| チェック項目 | 判断 |
|---|---|
| ネックの反り | 軽度なら調整可、自分では回さない |
| 割れ・ブリッジ浮き | 弦を張る前に要相談 |
| 弦 | 必ず新品に交換 |
| ペグ | ネジ締めで改善することも |
| フレット・指板 | 拭き取り・オイルケア |
| 電気系統 | 接点清掃で改善する場合あり |
押し入れのギターは、多くの場合まだ十分に現役です。まずはケースを開けて、状態を見るところから始めてみてください。


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