50代からのギター再開|同じ1曲を1年弾き続けるとどうなるか

ギター練習

ギターを続けていると、「次は何を弾こう」と新しい曲を探す時間が増えてきます。弾ける曲が増えるのは楽しいことですが、そこにひとつ抜けている視点があります。

同じ曲を、長く弾き続けるという選択です。

この記事では、1曲を深く弾き込むことで何が変わるのかを整理します。


■ 「次の曲」に移るのが早すぎるかもしれない

多くの人は、曲が通せるようになった時点で次に移ります。これは自然な流れですが、その段階での演奏は、まだ「弾ける」だけの状態です。

・止まらずに弾ける
・音が全部鳴っている

ここまでは到達しています。しかし、次のような要素はまだ手つかずです。

・音の強弱がついている
・テンポが完全に安定している
・曲の展開に応じて弾き方が変わっている
・自分の解釈が入っている

「弾ける」と「聴かせられる」の間には、この差があります。


■ 1曲を弾き込むと起きること

▼ ① 指の動きが自動化される

考えなくても指が動く状態になると、意識が別のことに使えるようになります。音の粒、強弱、リズムの揺れ——こうした細部に注意を向けられるのは、指が自動で動くようになってからです。

▼ ② 自分の癖が見えてくる

同じ曲を100回弾くと、毎回同じ場所でつまずくことに気づきます。それが自分の技術的な弱点です。新しい曲を次々弾いていると、この発見は起きません。

▼ ③ 少しずつ変えられるようになる

弾き慣れた曲だからこそ、「ここをアルペジオにしてみよう」「ここは音を減らそう」といった変更ができます。これがアレンジの入り口です。

▼ ④ 人前で弾ける状態になる

緊張した場面で弾けるのは、体に染み込んだ曲だけです。「通せる」程度の曲は、人前では止まります。

▶ 1曲を最後まで仕上げる手順


■ 弾き込む1曲の選び方

▼ 自分が本当に好きな曲を選ぶ

1年弾くことになるので、飽きない曲であることが最優先です。技術的に適切かどうかより、聴いて好きだと思えるかで選んでください。

▼ 今の実力で通せる曲を選ぶ

難しすぎる曲は、弾き込む段階まで到達しません。今の実力で最後まで弾ける曲の中から選びます。

▼ シンプルな曲のほうが向いている

複雑な曲より、コード数が少なくシンプルな曲のほうが、深めやすい傾向があります。余白がある分、表現を加える余地が大きいためです。


■ 深めるための具体的な取り組み

▼ 段階1:テンポを完全に安定させる

メトロノームや伴奏音源に合わせて、最初から最後までテンポが揺れない状態を目指します。録音で確認してください。

▼ 段階2:音量の設計をする

・Aメロは弱く
・Bメロで少しずつ強く
・サビで最も強く

このように、曲の中で音量の設計をします。同じ強さで弾き通すのをやめるだけで、演奏の印象は大きく変わります。

▼ 段階3:弾き方を変えてみる

・ストロークをアルペジオに変える
・ピックを指弾きに変える
・カポの位置を変える

同じ曲でも、弾き方を変えると別の曲のように聞こえます。どれが自分に合うかを試してください。

▼ 段階4:テンポを変えてみる

原曲より遅く弾いてみると、曲の表情が変わります。特にバラード系では、ゆっくり弾くほうが合う場合があります。

▼ 段階5:譜面から離れる

完全に暗譜した状態で弾くと、音に集中できるようになります。ここまで来ると、その曲は本当の意味で自分のものです。

▶ リズムがずれる原因と直し方

▶ 録音を聴き返すとき、どこを聴けばいいのか


■ 半年後、1年後に何が変わるか

時期状態
1ヶ月通して弾ける
3ヶ月譜面なしで弾ける
半年強弱がつけられる、安定する
1年人前で弾ける、アレンジができる

1年かけて1曲を仕上げると、その1曲は「一生弾ける曲」になります。10年後、久しぶりに手に取ったギターで最初に弾くのは、この曲です。

▶ 初舞台の準備ガイド


■ 新しい曲との両立

1曲だけを弾き続けるという意味ではありません。

・練習の10分を「弾き込む1曲」に充てる
・残りは新しい曲や基礎練習に使う

このように並行させるのが現実的です。弾き込む曲は、上達のためというより、演奏を楽しむ時間として位置づけると続きます。

▶ レパートリーの作り方

▶ 30分の練習メニューの作り方


■ 50代の再開者に向いている理由

▼ 数を追う必要がない

若い頃は「何曲弾ける」が価値になりがちですが、この年代では1曲を深く弾けることのほうが実感を伴います。

▼ 思い入れのある曲がある

10代〜20代に聴き込んだ曲は、メロディも歌詞も体に入っています。その曲を自分で弾けるようになることには、技術以上の意味があります。

▼ 時間の使い方として合理的

限られた練習時間の中で、確実に完成度を上げられる方法です。あれこれ手を出すより、結果が見えます。


■ まとめ

ポイント内容
効果指の自動化、癖の発見、アレンジ、人前で弾ける
曲選び本当に好きな曲、今の実力で通せる曲
深め方テンポ安定 → 音量設計 → 弾き方を変える → 暗譜
目安1年で「一生弾ける1曲」になる
両立練習の10分だけ充てる

弾ける曲を増やすことと、1曲を深めることは別の楽しみです。1曲、決めてみてください。

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