50代からのギター再開|楽器演奏が脳と認知機能に与える効果【京都大学の最新研究から解説】

ギター体験談

「50代からギターを始めても脳にいい影響なんてあるのかな」「歳を取ってから始める意味があるのだろうか」——ギターを再開した50代の方の中には、こんな疑問を持ったことがある方もいるのではないでしょうか。

その答えを裏付ける、非常に興味深い研究結果が2025年に発表されました。高齢期に始めた楽器練習を継続することが、脳の健康維持に明確な効果をもたらすことが科学的に示されたのです。

この記事では、50代のギター再開者向けに、楽器演奏が脳と認知機能に与える効果について、最新の研究をもとに解説します。


■ 京都大学の4年間追跡研究でわかったこと

2025年6月、京都大学の研究グループが「継続は力:高齢期に始めた楽器練習の効果」という研究成果を発表しました。この研究は、高齢期(平均年齢73歳)に始めた楽器練習を継続することが、4年後の認知機能、脳構造、脳機能の加齢による低下を防ぐことを示した、世界的にも貴重な研究です。

▼ 研究の背景

この研究グループは以前、健常高齢者が初心者として4か月の楽器練習に取り組むことで認知・脳機能が向上するという介入研究の結果を2020年に発表していました。今回の研究では、その最初の介入研究終了から3年以上経過した時点で参加者を再招集し、楽器練習を継続していた「継続群」と他の趣味に移行した「中止群」を比較しました。

▼ 研究でわかった具体的な結果

4年前と比較して、中止群ではワーキングメモリの成績が低下し、被殻という脳部位が萎縮し、小脳機能の低下なども起きていました。一方、継続群ではそのような低下・萎縮が見られませんでした。

これほど長期にわたって高齢期の楽器練習の効果を調べた実証研究は、この研究が初めてとされています。つまり、「始めること」だけでなく「続けること」自体に、脳を守る力があることが科学的に裏付けられたのです。


■ なぜ楽器演奏が脳に良い影響を与えるのか

楽器演奏は、脳の複数の領域を同時に使う非常に複合的な活動です。

▼ 同時に使われる脳の機能

・楽譜やコードを読む(視覚情報処理)
・指を動かす(運動制御)
・音を聴いて確認する(聴覚処理)
・リズムを取る(時間感覚)
・次の展開を予測する(記憶・予測)

ギターでコードを押さえながら、次のコードを考え、リズムを刻みながら音を聴くという行為は、脳のさまざまな部位を同時に活性化させる、非常に高度な作業です。この複合的な刺激こそが、認知機能の維持に貢献していると考えられます。


■ グループでの音楽活動がもたらす追加効果

楽器演奏の効果は、個人練習だけにとどまりません。東北大学との共同研究では、高齢者向けのグループ音楽セッションが認知機能と気分の改善に効果があることが示されています。

グループでの楽器演奏活動は、健康寿命延伸に寄与する可能性があるとされています。これは、演奏技術の向上に加えて、他者とのコミュニケーションやリズムを合わせる協調作業が、脳への刺激をさらに豊かにするためと考えられます。

50代のギター再開者にとって、これはセッションやバンド活動への参加が、単なる楽しみ以上の意味を持つことを示しています。


■ 50代から始めることは決して遅くない

今回紹介した京都大学の研究の対象者は平均年齢73歳です。つまり、70代から楽器を始めても、継続することで脳の健康維持効果が得られることが示されています。

50代でギターを再開した方にとって、これは非常に心強いデータです。「もっと早く始めればよかった」と焦る必要はなく、「今始めて、これから何十年も続けられる」という前向きな捉え方ができます。


■ 効果を得るための鍵は「継続」

この研究で最も重要なポイントは、効果が出たのは「継続していたグループ」だけだったという点です。他の趣味に移行した中止群では、認知機能の低下が見られました。

つまり、一時的に楽器を練習するだけでなく、長期的に続けることが、脳の健康を守る上で本質的に重要だということです。

▼ 継続のために意識したいこと

・完璧を目指さず、楽しみながら続ける
・毎日少しずつでも触れる習慣をつける
・セッションやグループ活動に参加してみる
・停滞期があっても焦らず継続する

50代からのギター再開は、単なる趣味の再開ではなく、将来の脳の健康への投資でもあるという視点を持つことができます。


■ 音楽が脳に与えるその他の効果

楽器演奏以外にも、音楽そのものが脳に良い影響を与えることが知られています。音楽を聴くことや演奏することは、集中力の向上やポジティブなメンタル状態の維持にも関連するとされています。

ギターを演奏することは、単に技術を磨くだけでなく、日々のストレス解消やメンタルヘルスの維持にもつながる、総合的に価値の高い活動と言えるでしょう。


■ 50代がこの研究から学べること

▼ 「今から始める」ことに科学的な意味がある

高齢期に始めた楽器練習でも脳の健康維持効果が示されたことは、50代でギターを再開したことが、感覚的な満足だけでなく、科学的にも理にかなった選択であることを裏付けています。

▼ 「やめない」ことの価値を再確認する

練習に行き詰まる時期があっても、続けること自体に大きな意味があります。停滞期を乗り越えて継続することが、将来の自分の脳を守ることにつながります。

▼ 一人で抱え込まず、仲間との活動も視野に入れる

グループでの音楽活動がもたらす追加効果を踏まえると、セッションやバンド活動への参加は、演奏技術の向上だけでなく、脳と心の健康にとってもプラスに働く可能性があります。


■ まとめ:楽器演奏と脳の健康の関係

ポイント内容
研究の対象平均年齢73歳の高齢者を4年間追跡
継続群の結果認知機能・脳構造の低下が見られなかった
中止群の結果ワーキングメモリの低下・脳の萎縮が見られた
追加の効果グループでの音楽セッションが気分の改善にも寄与
50代への示唆「今から始める」「続ける」ことに科学的な価値がある

50代からのギター再開は、単なる懐かしさや趣味の再開にとどまらず、将来の脳の健康を支える大切な習慣になり得ます。この研究結果を励みに、今日もまたギターを手に取ってみてはいかがでしょうか。


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