50代からのギター再開|弾いている間、息を止めていませんか【呼吸とギターの関係】

ギター練習

難しいコードを押さえるとき、速いフレーズに入るとき——自分の呼吸を意識したことはあるでしょうか。

多くの人が、集中した瞬間に無意識で息を止めています。そして演奏が終わった後、ふっと大きく息を吐く。これは珍しいことではなく、緊張を伴う作業をしているときによく起きる現象です。

ギターは「リラックスできる趣味」として語られることが多い楽器です。しかし弾き方によっては、体を緊張させたまま30分過ごしてしまうこともあります。この記事では、呼吸という観点からギターとの付き合い方を見直してみます。


■ なぜ演奏中に息が止まるのか

▼ ① 難所に集中すると全身に力が入る

バレーコード、速いコードチェンジ、初めて弾くフレーズ。こうした場面では、指だけでなく肩・首・顎にも力が入ります。呼吸を司る筋肉も体幹にあるため、全身の力みは呼吸の浅さに直結します。

▼ ② 「失敗したくない」という意識が働く

うまく弾こうとするほど、体は身構えます。録音しているとき、人に聴かせているときに、より顕著になります。

▼ ③ 楽器を抱える姿勢そのものが胸を狭める

ギターを構えると、自然と前傾になり胸が狭まります。特に座って弾く場合、背中が丸まると呼吸の深さが制限されます。


■ 息を止めたまま弾くとどうなるか

起きること演奏への影響
肩・腕がこわばる指が動きにくくなる
疲労が早く来る練習時間が短くなる
リズムが硬くなるノリが出ない・突っ込みやすい
練習後に疲労感が残る気分転換にならない

「気分転換のつもりで弾いたのに、なぜか疲れた」という感覚には、この呼吸の浅さが関係していることがあります。


■ 呼吸と体の状態について

一般に、ゆっくりとした深い呼吸、特に吐く時間を長く取る呼吸は、体をリラックスさせる方向に働くとされています。逆に、浅く速い呼吸や息を止める状態は、体を緊張させる方向に働くと考えられています。

演奏中に呼吸が浅くなっているとしたら、「音楽でリラックスしている」つもりでも、体は逆の状態にあるかもしれません。呼吸を整えることは、演奏の質と、練習後の心身の状態の両方に関わってきます。


■ 呼吸を意識する4つの実践

▼ ① 弾く前に3回、深く吐く

練習を始める前に、ゆっくり吸って、それより長く吐く。これを3回繰り返すだけで、肩の位置が下がり、構えが変わります。

ウォームアップのストレッチと同じ扱いで、習慣にしてしまうのが確実です。

▼ ② 難所の直前で息を吸う

難しいコードやフレーズの手前で、意識的に息を吸っておきます。息を止めたまま突入するのではなく、「吸ってから入る」という順番を作ります。

これは歌の息継ぎと同じ発想です。フレーズの切れ目に呼吸を割り当てておくと、体が固まりにくくなります。

▼ ③ フレーズに合わせて吐く

コード進行の4小節をひとまとまりとして、ゆっくり吐きながら弾いてみます。呼吸のリズムと演奏のリズムが結びつくと、演奏そのものが滑らかになります。

弾き語りをする人は、歌が自然にこの役割を果たします。逆に言えば、インストゥルメンタルで弾いているときほど、呼吸が止まりやすいということです。

▼ ④ 練習の最後に、何も考えず弾く時間を作る

練習の締めくくりに、すでに弾ける曲を5分だけ弾きます。新しいことに挑戦しない時間なので、体が緊張しません。

この5分があると、練習が「作業」ではなく「リラックスの時間」として終わります。記事454で紹介した練習メニューの最後の5分は、この役割も担っています。


■ 姿勢を見直すと呼吸が変わる

呼吸を深くするには、姿勢の確認も有効です。

確認点望ましい状態
背中丸まりすぎていない
上がっていない・すくめていない
突き出ていない
椅子の高さ膝が腰と同じか、やや低い位置

特に「肩が上がっている」は、多くの人に共通する癖です。一度肩をぐっと上げてから、ストンと落とす。これだけで構えが変わります。


■ 疲れるまで弾かないという選択

50代の再開では、練習時間の長さより、終わった後の状態のほうが重要です。

・弾き終えて気分が軽くなっているか
・翌日もギターを触りたいと思えるか
・体のどこかに痛みや張りが残っていないか

これらがマイナスに振れているなら、時間が長すぎるか、緊張したまま弾いている可能性があります。30分を切り上げて気分よく終わるほうが、1時間頑張って疲弊するより、長い目で見て上達します。


■ 体の不調が続く場合は

呼吸や姿勢を意識しても、動悸、息苦しさ、めまい、慢性的な倦怠感などが続く場合は、演奏とは別の要因が関係している可能性があります。自己判断で対処せず、医療機関に相談してください。

この記事で扱っているのは、あくまで演奏中の力みと呼吸の癖についての話です。


■ まとめ

ポイント内容
起きていること難所で無意識に息を止めている
影響指が動かない・疲れる・リズムが硬くなる
対策①弾く前に3回、深く吐く
対策②難所の直前で息を吸う
対策③フレーズに合わせて吐く
対策④最後の5分は弾ける曲だけ弾く
姿勢肩を落とす・背中を丸めすぎない

次にギターを持ったとき、難しいコードを押さえる瞬間の自分の呼吸を、一度観察してみてください。おそらく、止まっています。

※本記事は一般的な情報の整理であり、医学的な診断・治療を目的としたものではありません。

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