「とりあえず好きな曲を弾いているが、この先どこに向かえばいいのかわからない」——再開して1年ほど経つと、こういう迷いが出てきます。
ギターには、ジャンルごとに違う世界があります。そして、どのジャンルを選ぶかで、練習すべき内容も、必要な機材も、上達の道筋も変わります。
この記事では、主要なジャンルの特徴を整理し、自分に合うものを選ぶための判断軸を示します。
■ ジャンル選びが練習を変える理由
同じ「ギターがうまくなりたい」でも、目指す先によって練習内容はまったく異なります。
| 目指す先 | 主な練習内容 |
|---|---|
| 弾き語り | コード、ストローク、歌との同期 |
| ブルース | ペンタトニックスケール、チョーキング |
| ジャズ | 複雑なコード、コード進行の理論 |
| ソロギター | メロディと伴奏の同時演奏、指弾き |
| ロック | パワーコード、リフ、リズムの正確さ |
方向が定まっていないと、あれもこれもと手を出して、どれも中途半端になります。ジャンルを1つ決めることは、練習内容を絞ることでもあります。
■ 主要ジャンルの特徴
▼ フォーク・弾き語り
・使う技術:コード、ストローク、アルペジオ
・難易度:低〜中
・必要な機材:アコギ1本
・特徴:一人で完結する。歌が主役でギターは伴奏
再開者が最初に取り組むことが多い分野です。少ないコードで曲になるため、達成感を得やすいのが利点です。
▼ ブルース
・使う技術:ペンタトニックスケール、チョーキング、シャッフルのリズム
・難易度:入口は低い、奥は深い
・必要な機材:エレキまたはアコギ
・特徴:決まった型(12小節)があるため、セッションに参加しやすい
「入りやすく、極めにくい」の代表格です。少ない音数で表現するジャンルなので、速く弾く必要がありません。50代の再開者と相性が良い分野です。
▼ ロック
・使う技術:パワーコード、リフ、ミュート、リズムの精度
・難易度:中
・必要な機材:エレキ、アンプ、歪み系エフェクター
・特徴:バンドを組む前提の曲が多い
若い頃に聴いていた曲をそのまま弾けるのが最大の魅力です。ただし音量の問題があるため、自宅練習ではヘッドホン環境が前提になります。
▼ ジャズ
・使う技術:セブンス系コード、コード進行の理論、アドリブ
・難易度:高
・必要な機材:エレキまたはフルアコ
・特徴:理論の理解が演奏に直結する
最も学習コストが高い分野ですが、理屈で積み上げるのが好きな方には向いています。人生経験のある年代のほうが、この積み上げ方に適応しやすい面があります。
▼ ボサノバ
・使う技術:セブンス系コード、親指と他の指の独立、シンコペーション
・難易度:中〜高
・必要な機材:ナイロン弦ギターが理想(アコギでも可)
・特徴:音量が小さく、夜でも弾ける
自宅で音を出しにくい環境の方に向いています。指弾きなのでピックも不要です。
▼ ソロギター
・使う技術:メロディと伴奏の同時演奏、ハンマリング・プリング
・難易度:高
・必要な機材:アコギ1本
・特徴:歌わずにギター1本で曲が完結する
歌に自信がない方の選択肢として有力です。一人で完結し、機材も増えません。
▼ クラシックギター
・使う技術:右手の指のフォーム、譜面の読解
・難易度:中〜高
・必要な機材:ナイロン弦のクラシックギター
・特徴:フォームの型がしっかり体系化されている
正しい形から積み上げたい方に向いています。教材も体系的に揃っています。
■ 選ぶときの5つの判断軸
▼ ① 何を聴いてきたか
最も確実な基準です。10代〜20代に繰り返し聴いた音楽は、リズムもメロディも体に入っています。譜面を追う負担が少なく、覚えるスピードが変わります。
▼ ② 歌うか、歌わないか
歌いたいなら弾き語り系、歌わないならソロギターやインスト系。この分岐は最初に決めておくと迷いが減ります。
▼ ③ 一人か、誰かと合わせるか
一人で完結させたいなら弾き語り、ソロギター、クラシック。誰かと合わせたいならブルース、ロック、ジャズ。後者は「型」の共有があるため、初対面でも合わせられます。
▼ ④ 家で音が出せるか
大音量が必要なジャンルは、環境に左右されます。夜しか時間が取れないなら、ボサノバやソロギターのような小音量で成立する分野が現実的です。
▼ ⑤ 理屈が好きか、感覚が好きか
理論を学ぶこと自体が楽しいならジャズ。理屈より弾いて覚えたいならブルースやロック。この相性は上達速度に直結します。
■ 迷ったときの現実的な進め方
▼ 1つに絞らなくていい、ただし同時にやらない
ジャンルは一生固定するものではありません。半年ごとに1つ選んで集中し、合わなければ次に移る、という進め方で十分です。
ただし、同時に複数へ手を出すのは避けてください。練習時間が分散し、どれも定着しません。
▼ 「弾きたい曲」から逆算する
ジャンル名から選ぶより、「この曲が弾きたい」から入るほうが確実です。その曲がどのジャンルに属するかを調べれば、必要な技術が見えてきます。
▼ 3ヶ月試してから判断する
1〜2週間では向き不向きはわかりません。3ヶ月続けて、「練習が苦にならないか」で判断してください。
■ どのジャンルでも共通して必要なもの
・テンポを一定に保つ力
・コードチェンジの正確さ
・毎日弾く習慣
・痛みが出たら休む判断
ジャンル選びで悩む時間が長引くなら、これらの基礎を進めながら考えても遅くありません。基礎はどこへ進んでも無駄になりません。
■ まとめ
| 判断軸 | 質問 |
|---|---|
| 音楽体験 | 若い頃に何を聴いていたか |
| 歌 | 歌いたいか、歌わないか |
| 相手 | 一人か、誰かと合わせるか |
| 環境 | 家で音を出せるか |
| 学び方 | 理屈が好きか、感覚が好きか |
まずは「弾きたい曲」を1曲挙げてみてください。そこから逆算すると、進む方向はだいたい決まります。


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